メールで知らせるのは、駐車時の異変だけではない。事故の可能性が高い場合にも、事前に登録した家族や関係者などのメールアドレスに車載カメラで撮影した車外の状態や位置情報を送信する。
この「アクシデントインフォ」という機能は、衝撃を検知して専用車載カメラでイベント録画が起動し、なおかつ事故の可能性が高い場合に作動する。具体的には、イベント録画が起動した後に、ジャイロセンサーや車速センサーによってクルマの蛇行や停車を検知すると事故の可能性が高いとサイバーナビが判断する。
その後、カーナビゲーション画面に「アクシデントインフォを送信しますか」と表示し、ドライバーがキャンセル操作を行わなければ登録されたメールアドレスに情報が送信される仕組みだ。
ライブカーセキュリティとは異なり、アクシデントインフォはスマートフォンとサイバーナビ本体をペアリングしておけば使用することができる。
ライブカーセキュリティやアクシデントインフォは、簡易な緊急通報システムとして見ることもできそうだ。これらの機能は現時点では自動車メーカーには提案しておらず、「サイバーナビのユーザーに利便性を実感してもらうのが最優先」だとする。しかし、関心のある競合他社への提供や、業務用システムとしての法人利用など、用途拡大は歓迎だ」(内田氏)としている。
新機能を搭載するだけでなく、カーナビゲーションシステムとしての基本性能も底上げを図った。
自車位置の精度を向上するため、GPSやグロナス、みちびき、GPSを補正するSBASなど複数の衛星情報を受信して位置情報を受信する専用チップを新開発して搭載した。
従来モデルでも1秒間に10回測位していており、「弊社製品の自車位置がズレるのは年に1度見るかどうか」(内田氏)という精度だったが、自動運転車で今後求められる位置精度の高さを視野に入れて精度向上に取り組んだ。
位置精度に加え、旋回時の地図の回転のスムーズさや、道路の交差など細かい描画を改善し、カーナビゲーション画面の見え方にこだわった。「サイバーナビの購入者はリピーターが多く、“前よりも見え方が良い”という声を多数いただいている。そのため位置精度や画面の見せ方の改良を止めることはできない」(同氏)ためだ。
ルート探索機能も強化した。2016年秋からは通信モジュールを使用してサーバ上で経路を計算する「スーパールート探索」に対応する。従来のスタンドアロン型のカーナビゲーションシステムでは現在時と目的地の間でのみ経路を計算していたが、サーバ上でルート計算することで「引き返して遠回りした方が速く到着できる道順」(同氏)も選択可能になるという。
サイバーナビの新モデルの販売価格は、旧モデルよりも上昇する見通しだが「機能が充実した分として受け入れてもらえる範囲ではないか」(同氏)としている。
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