八郷氏は、販売台数の目標よりもまず、ホンダらしい製品で存在価値を認めてもらうことにこだわる。「世界戦略車の商品力を向上することでホンダらしさを深めていく」(同氏)と述べた。
世界戦略車のうち、2016年の北米カー・オブ・ザイヤーを受賞したシビックは、アジアや中国だけでなく、日本での販売も検討している。「シビックは日本では大きすぎると考えられてきたが、販売店の話を聞くと、ある程度のサイズでスポーティーなセダンは需要があることが分かった。現在ではこのクラスのユーザーが輸入車にとられている。対抗してシビックを投入しようと考えている」(同氏)。
シビック ハッチバックの次期モデルは、シビックや「シビック クーペ」と共通のプラットフォームを採用し、世界戦略車として競争力を高める。また、CR-Vやアコードの次期モデルには、新しいプラットフォームとダウンサイジングターボエンジンを採用し、走行性能とデザイン性を引き上げる。
地域専用車でも新モデルを投入していく。北米では、ピックアップトラック「リッジライン」や、CR-Vとオデッセイの次期モデルの発売を予定している。「アキュラMDX」は2017年からイーストリバティ工場とアラバマ工場の2拠点体制で生産する。日本は「フリード」のフルモデルチェンジを、中国では大型SUVやアキュラブランドの小型SUVの投入を計画している。
商品力の向上と柔軟な生産体制の構築により、適正な需給バランスとしていく。
今後は電動化技術の搭載拡大もホンダらしさとして位置付ける。2030年までに、販売の7割弱をプラグインハイブリッド車/ハイブリッド車/燃料電池車/電気自動車で賄う目標だ。販売台数のうち、50%以上をプラグインハイブリッド車とハイブリッド車が、燃料電池車と電気自動車が15%程度を占めると見込む。当面はプラグインハイブリッド車をコア技術と位置付け、将来的に燃料電池車と電気自動車に資源を集中させていく。
注力市場はパワートレインごとに分かれ、燃料電池車とプラグインハイブリッド車は日本と北米、ハイブリッド車は日本/中国/北米となる想定だ。燃料電池車は2016年3月に「クラリティ FUEL CELL」を発売し、2020年にはGeneral Motors(GM)と共同開発した次世代型燃料電池システムを製品化する。プラグインハイブリッド車は2020年以降に中国でも需要が増えるとしている。電気自動車は2018年に北米向けに投入する。また、2018年には北米向けにプラグインハイブリッド車も発売する計画で、クラリティ FUEL CELLと共通のプラットフォームを採用する。プラグインハイブリッドは、主要モデルにも順次設定していき、販売を拡大する。
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