ホンダは東京都内で会見を開き、同社社長の八郷隆弘氏が中長期的な四輪事業の方向性などについて説明した。世界戦略車を中心にホンダらしい製品を投入していくため、開発/生産体制を見直す。また2030年には、プラグインハイブリッド車やハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車といった電動車両の販売比率を7割弱まで引き上げる方針だ。
ホンダは2016年2月24日、東京都内で会見を開き、同社社長の八郷隆弘氏が中長期的な四輪事業の方向性などについて説明した。「新しいホンダの創造」(八郷氏)に向け、世界戦略車を中心にホンダらしい製品を投入していくため、開発/生産体制を見直す。また、電動化技術を採用した車両の市場投入を強化する。プラグインハイブリッド車をコア技術と位置付けて、新型モデルや主要モデルでの設定を増やしていき、2030年にプラグインハイブリッド車やハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車といった電動車両の販売比率を7割弱まで引き上げる方針だ。
開発/生産体制を刷新することにより「身の丈を超えた規模とスピードで製品を投入するために増大していた工数や負荷」(同氏)、「責任者が不明確になるなど組織としての課題」(同氏)を解決する。
開発の面では、本田技術研究所が中心となって“現場が”商品開発に集中できる体制とする。具体的には、商品開発の責任者、車両全体を一貫して評価する責任者、ホンダとアキュラブランドのデザインを統括する責任者をそれぞれ置く。責任の所在を明確にし、シンプルで速やかな意思決定ができるようにする。従来は「研究所と本田技研工業に開発部隊が分散しており、クルマづくりの中心が必ずしも現場ではなかった」(同氏)という。
また八郷氏は、これまでのホンダが評価されてきた理由として「顧客目線で練り上げた商品コンセプトに基づいたモノづくり」を挙げる。「生活を豊かにするため、商品やサービスとしてどう具現化するか、どんな技術が必要かという観点が不可欠だ。単なる高機能な製品ではなくお客さんが欲しいものを作る。デザインと走行性能の両面からコンセプトを立てて、ホンダらしいクルマを作っていく」(同氏)。
生産体制も見直す。世界戦略車は日本/中国/北米/欧州など世界6極の工場を活用して生産を補完する体制とし、フレキシブルに需要に対応する。このうち、日本は3〜4年後をめどに90万台まで生産台数を増やし、国内だけでなく欧州や北米にも供給する。90万台のうち、1〜2割が輸出分となる見込みだ。2015年のホンダの国内生産台数は約73万台で、3〜4年後に向けて2015年比で2割以上生産を増やしていくことになる。
日本から北米には、2015年から「フィット」を輸出しており、2016年には「アコードハイブリッド」の供給を始める。今後は、「シビック」「CR-V」の輸出も検討している。欧州向けにも2015年から「ジャズ(日本名:フィット)」を供給しており、今後は「HR-V(日本名:ヴェゼル)」やCR-Vも輸出していく。CR-Vは欧州/北米向けをともにカナダで生産する計画だったが、北米のSUV/ライトトラックの需要に対応するためカナダの拠点は北米向けの供給に特化し、日本が欧州向けのCR-Vを生産する。
こうした体制を作ることにより、「シビック ハッチバック」の専用工場でグローバルの輸出拠点となる欧州や、北米地域のSUV/ライトトラックの需要に対応する北米の拠点が、それぞれの担当に集中して生産できるようにする。
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