連載「『ミニ四駆』ボディーを3Dプリンタで作ろう」では、前回シリーズで作成したミニ四駆ボディーの3Dモデルデータを使って、実際に3Dプリントするまでの流れを紹介。第1回は、3Dプリンタの種類と3Dデータのファイル形式について解説する。
皆さん、こんにちは。志田穣です。
以前お届けした連載「無償3次元CADによる『ミニ四駆』ボディー設計講座」では、「Autodesk Fusion 360」(以下、Fusion 360)を用いて、図1のような「ミニ四駆」のボディーをモデリングしました。Fusion 360は、個人利用であれば基本的に無償で利用できる3次元CADで、ご覧の通り多彩な曲面を持つ形状であっても比較的簡単にモデリングすることが可能です。
さて今回の連載「『ミニ四駆』ボディーを3Dプリンタで作ろう」では、前回シリーズで作成した3Dモデルデータを使って、実際に3Dプリントするまでの流れを紹介していきます。
以下に列挙した通り、「3Dプリンタ」を活用する上で知っておきたい基礎知識から実際の造形や仕上げについて、そして「DMM.make 3Dプリント」に代表される3Dプリントサービスについて取り上げたいと思います。
MONOist読者の皆さんであれば、3Dプリンタの基本構造についてよくご存じかと思いますが、以下で簡単に代表的な3Dプリンタの種類を紹介します。
一般用途/個人用途向けとして広く浸透している3Dプリンタで、素材となる樹脂フィラメントを溶かしてノズルから押し出しながら、一筆書きの要領で立体に積層していきます。2009年にFDM方式の重要特許の期限が切れ、それ以降、各メーカーから安価な機種が続々と登場しています。FDM方式の3Dプリンタでよく使用される素材は、ABS樹脂、PLA樹脂などの熱可塑性樹脂です。
紫外線レーザーなどを光硬化樹脂に照射して、樹脂を硬化させながら積層していきます。造形エリア(ステージ)を徐々に樹脂槽に沈ませながら積層していく方式と、樹脂槽からステージを徐々に引き上げていく吊り下げ方式があります。最近では個人でも手が届く価格帯のSLA方式3Dプリンタも登場しています(関連記事:23万円で買える光造形方式3Dプリンタ「ノーベル 1.0」がついに発売)。
パウダー状の石こうを造形エリアに敷き詰めて、接着剤などを吹き付けながら積層していく方式です。インクを噴射することにより造形物への着色も行えます。
パウダー状の樹脂やセラミックス、金属などを造形エリアに敷き詰めて、レーザー光を照射することで粉末材料を溶かし、焼結させて層を作ります。粉末が硬化したら造形エリアを下げて次の層を造形し立体を形作ります。2014年2月にSLS方式の重要特許の期限が切れ、製品の低価格化が進むものと思われます。
FDM方式を含め、3Dプリンタは造形プロセスの特長として、切削加工や鋳造/鍛造、射出成形などの従来の工法ではできなかった、中空や組み付け済みの形状を一度で作成することが可能です。一方で、FDM方式の個人用途向け3Dプリンタでは考慮すべき点/制限事項があります。
以降で、3Dプリンタを利用する際に考慮すべき点、制限事項について解説します。
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