1. 3Dプリンタは使用する機種ごとに、最大造形サイズ(X、Y、Zのサイズ)が決まっています。つまり、作成した3Dデータを3Dプリントしたい場合は、使用する3Dプリンタの最大造形サイズに合わせて、3Dデータ側の寸法を調整する必要があります。3Dプリンタに付属の専用ソフトウェアなどで3Dデータのスケールを調整できる場合もあります。また基本的に、造形サイズが大きければ大きいほど造形時間がかかります。同じ形状の場合、寸法が2倍になると必要になる材料の体積は8倍になることに留意してください。
2. 積層方向(造形の向き)についても考慮する必要があります。3Dプリンタは断面形状を1層ずつ積み重ねていく積層造形であるため、作成した3Dデータをどの向きで3Dプリントするかによって造形時間が変わってきます。同じ形状であっても長手方向に垂直に造形しようとすると時間がかかります(図2)。ただし、どの方向で積層するかは造形物の強度にも大きく影響するので、単純に長手方向を短くすればよいというわけでもありません。
3. 密度に関しても先ほどの積層方向と同様に、造形時間や強度に大きく影響してきます。造形物の中身が詰まっているものと、スカスカのものとでは造形時間や強度が変わりますし、当然使用する材料の量も異なります。形状や目的にもよりますが、ある程度の大きさがある造形物であれば、板厚(例えば1mm以上など)を確保して外形形状を維持した上で中身の密度を減らす、あるいは中空化するなどを検討してみてもよいでしょう。
4. FDM方式などに代表される3Dプリンタの場合、オーバーハングがあるような形状に対して、その造形部分が落下したり、沈み込んだりしないように「サポート材」と呼ばれる支持材を付けることができます。3Dプリンタの設定などにより、サポート材なしで造形することもできますが、その場合、落下しない傾斜角を加味した上で3Dデータを作成する必要があります(図3)。
ちなみに、サポート材を入れて造形すると、その分材料も使用しますし、仕上げの手間も掛かります。例えば、見た目のきれいさを重視するのであれば、人目に付きやすい造形物の正面部分にサポート材が入らないように配置方向を検討することも必要です(図4)。
5. サポート材は、造形完了後に除去する必要があります。その際、ニッパーやヤスリなどがあるとよいでしょう。詳しくは次回で解説します。
6. 実用部品を出力したい場合など、3Dプリンタの最大造形サイズに合わせて3Dデータをスケールダウンしたくないケースもあります。そのような場合、一体だった3Dデータを複数のパーツに分割してそれを造形し、後から組み立てる(一体化)方法もあります。これについても次回で詳しく解説します。
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