三菱電機、東京工業大学、龍谷大学、マイクロ波化学は、GaN増幅器モジュールを加熱源とする加熱装置を共同開発した。化石燃料を加熱源とする産業用加熱装置と比べて、消費エネルギーを約70%低減できるという。
三菱電機、東京工業大学、龍谷大学、マイクロ波化学は2016年1月25日、GaN(窒化ガリウム)増幅器モジュールを加熱源とする、高効率な産業用マイクロ波加熱装置を共同開発したと発表した。
4者による共同開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務「クリーンデバイス社会実装推進事業/省エネルギー社会を実現する高効率高出力マイクロ波GaN増幅器」を受けて進められたもの。加熱源として出力電力500WのGaN増幅器モジュールを利用することで、現在主流の化石燃料を加熱源とした産業用加熱装置と比べてエネルギー消費を約70%低減できるという。
従来の化石燃料を加熱源とする加熱装置の場合、試料を加熱する前に装置全体を加熱する外部加熱が必要になるため、その分のエネルギーが無駄に消費されていた。一方、GaN増幅器モジュールを加熱源とする場合、電子レンジと同じ原理で試料を局所的に加熱するため、エネルギー消費を低減できるという。
マイクロ波内部加熱方式を採用した加熱装置として、一部ではマグネトロンが加熱源として採用されているが、マグネトロンは位相コヒーレンスが低いという特性があり、大電力化が難しかった。それに対してGaN増幅器モジュールが出力するマイクロ波は、位相コヒーレンスが高く、大電力化が可能。さらに、位相を制御することで温度分布を自在に制御、局所的に内部加熱できるようになり、化粧品やインク塗料などの化学物質生成時の生産効率を、従来の手法より約3倍向上できるとしている。
GaN増幅器モジュールの活用は通信やレーダー分野において進んでいるが、産業用加熱装置への適用は初めてだという。今後は実用化を目指すとともに、化学産業分野の省エネルギー化に役立てたい考えだ。
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