河野氏は平日の大半を機能安全アセスメントに割く。「社内の10以上のプロジェクトを常に確認するので、最近はもっとアセスメント量が増えている」(同氏)。
時間だけでなく幅広い知識も求められる。同氏はこれまでの経験から「アセスメント担当者(アセッサー)は機能安全規格に関する知識はもちろん、製品そのものについても知っておくべきだ」と話す。
アドヴィックスの製品を例に出し「機能安全規格の対象である横滑り防止装置についてだけでなく、ブレーキブースターやマスターシリンダー、ディスクブレーキなど直接機能安全に関係ない部品の理解もアセスメントに役立つ。こうした知識があれば、それぞれが故障した時に車両にどんな影響を与えるか想定することができる」(同氏)と説明した。
また、アセッサーが、システム/ハードウェア/ソフトウェアの開発や、プロセスモデルや開発支援ツールについても知識を持つことを勧めている。しかし「幅広い知識と経験を持ち長時間アセスメント業務に対応できるようなスーパーマンはいない」(同氏)。だからこそ、組織内で担当を組み合わせて効率よくアセスメントを実施する体制が必要なのだという。
組織として機能安全アセスメントの戦略を検討する時には、社内で体制を作る、もしくは社外に委託するなどの最終目標を決めることが必要だ。アドヴィックスの場合は、社内に自立したアセッサーを育てることを目標にした。
目標達成に向けては、費用や支援ツールの導入、増員などについて検討するだけでなく「本当に効果的で効率が良いのか、現場で現実的に運用できる手段なのか考えるべきだ。目標までやり遂げるための責任者も必要だ」(同氏)。
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