製造物(部品や製品など)の品質は、現状では結果物の検査によって保証している。そのため製造ラインにおける不良発生の原因究明に向けた情報収集には、必要な情報が一元管理されていないことが多く、時間がかかる。WGでは製造プロセスから取得・蓄積したデータの連携・解析による不良原因の早期発見や、さらには未然防止の具体的な仕組みを検討する。
生産技術部門を持たないような中小企業でも、ロボットの利活用により生産性向上、多品種少量生産などの実現を狙うするケースがある。しかし現状ではロボット導入のハードルは高く、導入後も想定通りの効果が上がらないことが多い。これらの問題に対応するため、ロボット導入事例のデータベース化と再利用可能な形式での蓄積、そのための情報の定義、要求仕様書の標準化などを進める。
消費者ニーズの多様化により、中小企業へのモノづくりの依頼も多様化している。また、大手企業や研究所からの依頼方法も、部品単位から複合化(モジュール化)が進む傾向にある。こうした状況の中、1社だけの技術では実現できない依頼であっても、中小企業が共同すれば受注機会の増加が期待できる。こうした“つながる”仕組みを、手軽に使えるICTで実現する業務シナリオを具現化していく。
物理的なモノの移動や人の移動を効率的に設計し、企業を超えたバリューチェーン全体で最適化することによって、環境負荷の低減やトータルな社会的効用の増加につながることが見込まれる。しかし、各企業の生産計画や生産管理の仕組みと、物流業者のシステムが統合、連携している例は少ない。そこで同WGではメーカーやサプライヤーにおける生産側の識別子と物流側の識別子をむすびつるプロセスと、全物流をデータ化してデータウェアハウスに記録するためのインタフェースを緩やか標準で定義することで、少ない投資で必要な全物流情報を荷主側が活用できるよう検討する。
現状、自動車はメーカーが作ったパッケージをユーザーが選択し、その後は一律のアフターサービス(決まったをメンテナンス)を受ける形式となっている。将来的にはそれぞれの嗜好に合ったそのユーザーだけの1台を生産し、使用状況に応じたアフターサービスを提供することを目指している。それを実現するには生産リードタイムと部品在庫数が相反関係になるという課題のブレークスルーや、ユーザーの潜在的ニーズを把握する必要がある。同WGは生産側(自動車メーカー側)と販売会社、ユーザーをIoTでつなぐことで、こうした課題を解決する業務シナリオの策定を目指す。
以上が現在IVIのもとで進められている各WGの活動内容となる。このうち10のWGについは、既に実際の工場などを活用した実証実験に着手、または実証の計画段階に入っている。WGの活動が終了するのは早くとも2016年3月以降を見込んでおり、IVIではこれらの活動から生まれる“緩やかな標準”のリファレンスモデルを、今後国内外に広く公開していく計画だ。
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