日本版インダストリー4.0の鍵となる“緩やかな標準”、実現に向け19のWGが始動スマートファクトリー(1/4 ページ)

日本版インダストリー4.0の実現に向けた推進組織「Industrial Value Chain Initiative(IVI)」は東京都内でシンポジウムを開催。「つながる工場(スマートファクトリー)」を実現する上で重要になる“緩やかな標準”の策定に向け活動を進める、19のWGの取り組みについて発表した。

» 2015年11月25日 07時00分 公開

 ドイツの「インダストリー4.0」や米国の「インダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)」などを筆頭に、世界でIoT(Internet of Things、モノのインターネット)やICTを活用した製造革新への動きが加速している。こうした取り組みが最終的な目標として見据えるのが、IoTの活用などにより自律的な生産活動を行う「つながる工場(スマートファクトリー)」の実現だ。

 日本でもこうしたつながる工場の実現に向けた取り組みの推進団体として、2015年6月に「Industrial Value Chain Initiative(IVI)」が発足した。IVIは日本機械学会生産システム部門の「つながる工場」分科会を母体とする組織で、その目的はつながる工場の実現に向け、参加企業が企業の枠組みを超えて“緩やかな標準”を作り、企業間連携の仕組みを作り出していくことにある。現在IVIには、100以上の企業や団体が参加しており、目的別のワーキンググループ(WG)ごとに“緩やかな標準”作りに向けた活動を展開している(関連記事)。

 IVIは2015年11月12月に東京都内でシンポジウムを開き、各WGにおける取り組みの概要について発表した。本稿ではIVIの活動における“緩やかな標準”の位置付けとともに、シンポジウムで発表された各WGの取り組みの概要について紹介する。

東京都内で開催されたシンポジウム会場の様子。240人以上が集まった

“緩やかな標準”とはなにか?

 ドイツのインダストリー4.0において定義されるつながる工場(スマートファクトリー)が目指すのは、工場内の生産設備群だけでなく、工場と工場もつながることで実現するサプライチェーンも含めた生産の自律化および最適化だ。こうした非常に高度な“つながる”を実現するためには、システムやデータの連携に向けさまざまな規格や仕組みの標準化が必要になる。既にドイツや米国は標準化の策定に向けた取り組みを加速させている。

 一方、日系製造業の場合、企業独自のノウハウの積み重ねがグローバルな競争力を生んできた背景もあり、利害関係を考慮しても欧米と同じように全てを標準化していくというのは現実的に難しい面もある。さらに厳格な標準化が進めば、現場力や人の力といった日系製造業の強みが阻害されてしまう懸念もある。

IVIの代表を務める法政大学デザイン工学部 教授の西岡靖之氏

 そこでIVIでは“つながる”を実現する上で企業の競争領域と協調領域を分け、協調領域の部分について、企業間で共通化することでメリットがあると見込まれる部分をWGとして切り出す。その後WGに参加するメンバー企業間で連携に取り組み、「全員にメリットが生まれる形」を実現できれば、それを他の企業も参考にできる「リファレンスモデル」として公開していく。最低限の共通化とすることで、個別の変更や部分的な改良を許容するかたちだ。これがIVIで取り組む“緩やかな標準”作りの概要となる。

 シンポジウムに登壇したIVIの代表を務める法政大学デザイン工学部 教授の西岡靖之氏は、「IVIで目指す“緩やかな標準”とは、日本のモノづくりの強みを生かしながら、同時につながることによるモノづくりのオープン化を目指すもの。日本の製造業に合うよう事業部や工場レベルで参加できるボトムアップ型の協業を目指し、中小企業や地方のローカル企業にも展開していきたい」と述べる。

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