6)「走りを楽しくさせる加速感」は、主にハイブリッドシステムの制御の工夫によるところが大きい。ハイブリッド車でアクセルを踏んで加速する場合、エンジンとモーターの両方の駆動力を使って加速することになる。しかし3代目プリウスでは、エンジン回転数の増加と連動する形で感じる「リニアな加速」とは少しずれた、ある意味ハイブリッド車独特の加速感になっていた。
新型プリウスでは、アクセル操作と車両加速度応答の関係を定式化し、伸び感のある気持のよい加速感を創出した。また駆動用バッテリーを活用することで、車両加速度とエンジン回転数変化の一体感も実現している。
加速とは逆方向になるが、ハイブリッド車では減速エネルギーを使って発電する回生ブレーキを使った減速も独特のものになっていた。「3代目プリウスでは“カックンブレーキ”と呼ばれることも多かった」(豊島氏)。新型プリウスは、より自然でスムーズなブレーキングになるように、回生ブレーキと油圧ブレーキのバランスをセンサーを使って最適に制御している。
走行時の快適性ではシートも重要な役割を果たしている。最も快適な運転姿勢を実現するため、腰や筋肉への負担が少ない骨盤角度を実現。シート内のクッションパッドの素材や厚みを工夫して、座骨に集中しがちな圧力が周囲に分散し、包み込まれるようなフィット感を生みだしたとしている。
またTNGAプラットフォームの採用により、シートのボディへの取り付けについても、これまではあまりなかったことが実現できている。従来のトヨタ車では、シートをボディに取り付ける場合、シートやボディ側に変更を加えるのではなく、その間にブラケットを追加するのが一般的だった。しかしTNGAプラットフォームでは、車両の仕様に合わせて最適なシートの高さを複数の段階から選べるようにして、ブラケットの追加を不要にした。
これによってブラケットという部品の省略のみならず、ボディに直接取り付けることにより「グラグラせず疲れないシートをTNGAプラットフォームの車両全てで実現できるようになった」(トヨタ自動車 製品企画本部 ZF 主任の杉浦真之氏)という。
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