「キャスト」の3モデル同時開発を実現したデザイン案ストックと3Dデータ活用車両デザイン(1/3 ページ)

ダイハツ工業は、新開発の軽自動車「キャスト」を発表した。個性の重視によってデザインへの要求が多様化する市場需要に対応し3つのバリエーションモデルを用意したことを特徴とする。これら3つのバリエーションモデルの同時開発を実現したのが、「デザイン案ストック」と「3Dデータ活用」である。

» 2015年09月10日 06時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 ダイハツ工業は2015年9月9日、東京都内で会見を開き、新開発の軽自動車「CAST(キャスト)」を発表した。個性の重視によってデザインへの要求が多様化する市場需要に対応し3つのバリエーションモデルを用意したことを特徴とする。クロスオーバーSUVタイプの「アクティバ」、都会的な「スタイル」、スポーツチューニングを施した「スポーツ」である。アクティバとスタイルは同日、スポーツは2015年10月末に発売する。税込み価格は、アクティバが122万400〜164万7000円、スタイルが122万400〜164万1600円(スポーツの価格は発売時に発表予定)。月間販売目標台数は3モデルの合計で5000台。

 アクティバとスタイルの2WDモデルはJC08モード燃費で30.0km/l(リットル)を達成しており、エコカー減税の免税対象車となっている。ただし4WDモデルは26.8km/l、ターボエンジンは2WDモデルが27.0km/l、4WDモデルが25.0km/lとなっており、エコカー減税の免税対象車になっていない。

「キャスト」の3つのバリエーションモデル 「キャスト」の3つのバリエーションモデル。左から「スタイル」、「アクティバ」、「スポーツ」。アクティバとスポーツの間にいるのはダイハツ工業社長の三井正則氏(クリックで拡大)
「アクティバ」の外観。クロスオーバーSUVらしく、15インチ大径タイヤを採用するとともに、最低地上高を他2モデルより30mm高い180mmにした。樹脂ガーニッシュやガンメタリック塗装のロアボディやサイドモール、専用のフロントグリルによりアクティブさの中に上質感を付与している(クリックで拡大)
「アクティバ」の内装。オープントレイによりスポーティーさを付与(クリックで拡大)
「スタイル」の外観。バンパーモールやサイドロッカーなど車両底部を縁取るようにメッキ加飾を施して都会的な上質感を演出している(クリックで拡大)
「スタイル」の内装。「アクティバ」とは違って。インパネトレイをふた付きのクローズタイプとした(クリックで拡大)
「スポーツ」の外観。専用エアロパーツに赤色のストライプを施した。赤色のワンポイントを各所に加えることで走りへの期待感を醸成しているという(クリックで拡大)
「スポーツ」の内装。黒基調が基本だが、写真の内装はオプションの「ブラック&ホワイト」で、シートがホワイトレザー調になっている(クリックで拡大)

 同社社長の三井正則氏は「どうすれば、軽自動車の、ダイハツのファンを増やせるかをさまざまま手段で模索する中で、機能や性能面の進化だけではなく、お客さまの嗜好に応えるデザインも大きな要素であることをあらためて感じた。軽自動車の規格の中で、実用性を犠牲にすることなく、表情豊かなデザインを付加するにはさまざまな技術が必要になる。今回発表したキャストには、当社のデザイン力を全て凝縮した」と語る。

 また、キャストのデザインを実現する上では、「デザイナーが練り上げた、表情豊かで立体感のあるデザインを最大限尊重し、そのままの形で発売にこぎつけた。その実現には、『コペン』などに採用してきた樹脂技術と、低価格で2トーンカラーが可能になる『Dラッピング』という2つの技術が重要な役割を果たした」(三井氏)という。

「キャスト」で重要な役割を果たした樹脂技術(左)と「Dラッピング」(右)の概要(クリックで拡大) 出典:ダイハツ工業

 5000台の月間販売目標台数の内訳は、アクティバが2500台、スタイルが2000台、スポーツが500台となっている。また、初年度の月間販売目標台数については、7000台が目標になることも示された。

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