「キャスト」の3モデル同時開発を実現したデザイン案ストックと3Dデータ活用車両デザイン(2/3 ページ)

» 2015年09月10日 06時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

デザイン期間は半減、開発期間は12カ月から10カ月に短縮

 社長の三井氏が「当社のデザイン力を全て凝縮した」と強調するキャストだが、どのように開発が進められたのだろうか。

 ダイハツ工業の執行役員 技術本部長を務める上田亨氏は「軽自動車、登録車ともデザイン重視モデルの販売台数が伸びている。そこで、キャストのコンセプトを、『生活を彩る自分仕様の軽自動車』とした」と述べる。ここで言う「自分仕様」を反映したのが、アクティバ、スタイル、スポーツという3つのバリエーションモデルの同時開発である。


ダイハツ工業の上田亨氏(左)と「キャスト」のコンセプト(右)(クリックで拡大) 出典:ダイハツ工業

 キャストでは、車両の基本構造は共通にしながら、各モデルの独自性を際立たせられるパーツを洗い出した上で大胆に変更することで、世界観の違いを表現したという。例えば、リヤクォーターピラーパネルは外板部分を樹脂パーツの取り付け構造にすることで、さまざまなカラーに対応できるようにした。スポーツで赤のワンポイントを加える際にも利用されている。

「キャスト」における、車両の基本構造を共通にしながら、各モデルの独自性を際立たせるための取り組み。リヤクォーターピラーパネル(左)と、2トーンカラーの「Dラッピング」、バンパーの共通化、ドア側面下部におけるデザインの差異化(クリックで拡大) 出典:ダイハツ工業

 フロントグリル形状が同じスタイルとスポーツのバンパーは上下2パーツ構成になっており、下部パーツの変更でそれぞれのモデルのデザインに対応できる。ドア側面下部は3モデルで異なるデザインになっており、アクティバはガンメタリック塗装のサイドドアモール、スタイルはメッキ加飾のサイドドアモール、スポーツは赤のピンストライプ付きのサイドストーンガードにして、デザインの差異化を図った。

 内装も、インストルメントパネルの構造は共通化しながら、インナートレイをオープンタイプとクローズタイプで使い分けている。

インナートレイの使い分け インナートレイの使い分け。「アクティバ」と「スポーツ」はオープンタイプ、スタイルはクローズタイプになっている(クリックで拡大) 出典:ダイハツ工業

 その一方で丸型形状が印象的なヘッドランプとリヤコンビネーションランプは、3モデルで共通部品とし、開発コストの削減につなげている。

丸型形状が印象的なランプ類は3モデルで共通 丸型形状が印象的なランプ類は3モデルで共通(クリックで拡大) 出典:ダイハツ工業

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.