ISO26262の第2版の策定始まる、車載セキュリティが「ホット」な議題に日本自動車工業会 電子安全性分科会会長 インタビュー(3/3 ページ)

» 2015年06月18日 11時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
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ISO 26262の第2版の策定状況は?

MONOist ISO 26262の第2版の策定が始まったそうですが、どのような方向性で議論が進むとみられていますか。

川名氏 通常のISOの改定の場合、4年間規格を運用してみて、不都合が出たり技術が古くなったりした部分を改定するという作業になります。ただし、ISO 26262の場合には、この作業以外に半導体、特にアナログ系半導体の要求の充実や、乗用車以外の大型車や二輪車への適用拡大、今後きたるべき高度運転支援システムや自動運転技術を意識した安全要求の見直しが入ってきそうです。

 第2版の発行時期は、現時点ではISOの規格見直しの原則に従って2018年1月が目標になっています。そうなると、2017年初頭には素案がまとまっていないといけないので、スケジュールに余裕があるわけではありません。

 第2版の策定で日本から本会議に参加しているエキスパートの数は5人で、これは初版と同じです。自動車メーカーから3人、サプライヤから2人という構成になっています。またさらに、本会議傘下の各サブワーキングにも数人ずつ参加しているので、先ほど「日本は実際の応用が得意」とお話ししましたが、ISO 26262に関連する実運用データの蓄積を背景に、第2版の策定では一定レベル以上の発言力は得られそうです。

MONOist 自動運転技術開発の進展により、ISO 26262と並んで車載セキュリティにも注目が集まっています。ISO 26262にも車載セキュリティの要素が組み込まれていくのでしょうか。

川名氏 機能安全の規格であるISO 26262にとって、自動運転技術を導入した際に乗員や歩行者などの安全に大きく関わる可能性のある車載セキュリティが重要だという認識は共有されています。自動運転技術が急激に進展していることもあり、ISO 26262の中でも「ホット」な議題になっています。

 ただし、車載セキュリティの標準化については、活動対象とする範囲や、それそのものが持つ秘匿性、他の業界のセキュリティ技術がそのまま使えないことなど、実現に向けては困難を伴います。

 ISO 26262では、車載セキュリティ全体に関してではなく、セーフティとセキュリティのインタフェースについて、今後議論を始めようとしている段階です。しかしながら日本としても、車載セキュリティに関する課題を早急に整理して、素案を検討する必要があると認識しています。

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