学生チームが約半年を掛けて金型の設計から量産までを行う金型グランプリ。プレス金型とプラスチック金型の課題に対して、さまざまな創意工夫を盛り込んだ金型や成形品が発表された。
2015年4月15〜18日に日本金型工業会主催による「第7回 学生金型グランプリ」が、金型、成形加工技術の展示会「INTERMOLD 2015/金型展2015 金属プレス加工技術展2015」(東京ビッグサイト)内で開催された。期間中は各チームの金型が展示され、16日には発表講演会および結果発表が行われた。
金型はマザーツールとも呼ばれ、大量生産の時代において不可欠な存在だ。金属の鍛造やプレス加工、樹脂やセラミック成形など、金型が使用される範囲は幅広い。製品の品質は金型の品質によるところが大きく、製品づくりの要ともいえるものだ。また金型は工作機械や工具、測定、材料、ITなどの最先端の技術が適用される製品でもある。
学生金型グランプリは、金型技術を学ぶ学生たちが、約半年掛けて金型および成形サンプルを製作し、その内容をプレゼンする。授業だけでは身に付けられない知識や経験を得られる場として、参加者からは高い評価を得ているという。今回の金型グランプリには国内5大学・大学校および中国から1大学が参加した。
今回の製作課題は、プレス金型が「ベルの単発型対応」、プラスチック金型が「トートバッグ型マグカップ用ティーバッグレスト」だった。
ベルは上から見た直径が34mmで、上パーツと下パーツをそれぞれ成形した上で縁をかしめてつなげた形状で、中に鉄心を入れる。
単発型だと型数が増えるため、その中でいかに型数や工程数を削減できるかがポイントだという。
プラスチック金型のテーマは「トートバッグ型マグカップ用ティーバッグレスト」で、紅茶などを入れた後のティーバッグを入れておくものだ。
トートバッグの一方の持ち手が外側に曲がった形状である。サイズはポケット部分が60×40×25mm。「見た目は簡単だが、実際に作ろうとすると非常に頭を悩ませる」(出題者)ものだという。
日本金型工業会 会長の牧野俊清氏は、開会のあいさつで「世の中には素晴らしい形状と性能を持った製品がたくさんある。そういった商品において金型が一番といっていいくらい大きな役割を果たしているのではないか。一方で金型は非常に技術のいる仕事。各大学も素晴らしいものを作っていたが、総合技術を含むので勉強になったのではないか」と述べた。
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