コニカミノルタは、1粒子蛍光ナノイメージングによる分子病理診断技術を開発した。新開発の蛍光ナノ粒子と抗体を結合して病理染色に応用することで、がん組織の特定タンパク質の検出感度と定量性の向上が可能になるという。
コニカミノルタは2015年4月27日、1粒子蛍光ナノイメージングによる分子病理診断技術を開発したと発表した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「がん超早期診断・治療機器の総合研究開発プロジェクト」の1つとして行われたもので、同社では、創薬研究分野を対象とした蛍光ナノ粒子による病理標本作製サービスを同年7月から提供する。
医療・ライフサイエンスの分野では、蛍光物質を用いた検出手法が細胞イメージングや生体イメージングの研究開発に利用されている。その1つに、有機蛍光色素を用いた検出技術があるが、輝度が低い・退色する、感度や定量性が低いなどの課題があった。
同社では、銀塩写真用粒子の開発で培った技術を応用することで、粒径分布が極めて小さいナノサイズの蛍光体粒子(蛍光ナノ粒子)を開発。この蛍光ナノ粒子は、市販量子ドットの100倍以上の蛍光強度を持ち、汎用顕微鏡で目視確認できる高輝度化を可能にした。これにより、蛍光が組織由来の自家発光、細胞形態標識剤のヘマトキシリンやエオジンの発光を大幅に上回り、形態と蛍光の同時観察が可能になったという。
また、退色抑制技術の導入により、従来の有機蛍光色素に比べ、観察中の安定性が大幅に向上した。さらに、蛍光粒子の表面修飾技術と蛍光粒子用染色材料を開発したことで、これまで量子ドットなどで問題となっていた非特異的吸着を大幅に低減した。
この新開発の蛍光ナノ粒子と抗体を結合して病理染色に応用することで、がん組織の特定タンパク質の検出感度と定量性の向上が可能になるとしている。同社では今後、HER2、Ki-67、c-MET、PD-L1を対象マーカーとした蛍光ナノ粒子染色標本を作製し、顕微鏡画像や画像解析(オプション)を提供する予定だ。
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