花粉の季節にふさわしく、必要とする人に向けてティッシュを飛ばしてくれるという「IoTISSUE」を作ったのが「Perfect」だ。名前やアイデアの面白さの上にプレゼンもユニークで会場を盛り上げた。
IoTISSUEはくしゃみや鼻をすする音がすると、その人を検知して、ティッシュをポンと飛ばしてくれるという作品だ。白い箱の中にはラジコンカー、ティッシュを飛ばすための装置が入っており、上には「RICOH THETA」、マイク(スマホ)、超音波距離センサーが乗っている。まず音声認識によりくしゃみの音などを検知すると、RICOH THETAがリモート起動してシャッターが押される。続いてIntel Edisonと連携して「OpenCV」により、撮影した写真の顔認識を行う。その人物の方向を調べて、超音波センサーによって距離を測定した上で、Edisonにつなげたラジコンカーが適切な距離に移動してティッシュを飛ばす。この飛ばす仕組みが難しく、50通り以上を考えて試したとのこと。最終的に空気砲の要領でペットボトルの底に風船のゴムを張り、ソレノイドでたたくことで飛び出させ、小型扇風機で加速させることに落ち着いたそうだ。
音声認識や360度カメラ、顔認識や距離測定など、さまざまな技術を1つの作品に集約したのが特徴だ。苦労の甲斐あって「インテル賞」と「RICOH THETA賞」をダブル受賞した。インテルは「画像処理などEdisonと各種機能を使いこなし、デモまできちんと動いており、よくできていた」と評価した。Perfectのメンバーは「普段はWebエンジニアをしており、回路に挑戦するのは初めてで苦労したが、IoTに自分でも取り組めるのではと感じた」とのことだ。
別のスマホに常駐するインコ同士が勝手におしゃべりをするという新鮮さが目を引いたのが、「Masachu KC E-musu」の「おしゃべりインコ」だ。おしゃべりインコは、基本的にはiOS向け音声アシスタント機能「Siri」のように、持ち主との会話や情報検索などを行うAndroidアプリである。Siriと異なるのはバックグラウンドで動作するため、他のアプリと同時に利用できる点だ。例えばLINEを使いながら気になる言葉を検索したり、ゲーム中にメールを送るといったことも可能である。
またこのアプリの目玉が、同じアプリをインストールしている他の端末のインコとも勝手に会話を行うことだ。処理はクラウドサーバ上で行われる。またインコは会話や連携したTwitterからユーザーのことを学習していき、インコの方から飼い主に気になることを質問したり、その学習を利用してインコ同士の会話で「最近主人はサッカーに興味を持っているらしい」などと話題に出すという。
同チームは大学の学部生3人組。アプリを思いついたきっかけは、「ロックマンエグゼ」というアニメに出てくる、個人の携帯端末に住むパートナー「ネットナビ」を再現したかったからだそう。そこでしゃべる動物としてインコを選んだそうだ。
おしゃべりインコは「IDC Frontier賞」を受賞した。授賞理由は「バックエンドで動かしたりアプリ同士が会話するなど、人に好かれる、なじむよう工夫していた。完成度も高くアプリに対する愛情も感じた」(IDCF)。村上氏は「AI同士の会話に発展できるのでは」とコメントした。なおアプリは2015年5月頭までに「Google Play」でリリースする予定だそうだ。
渋滞にはまった車同士でしりとりができるAndoidアプリ「シャッフル渋滞」を発表したのが「シャップルピッザー」だ。ホンダ提供のカーナビ向け交通情報サービス「インターナビ」のAPIを使用して道路情報を一定時間ごとに監視し、渋滞の領域に入ると自動で起動する。続いて渋滞にはまっている他のユーザーを自動で探し出して、5人集まった時点でゲームを始める。渋滞を抜けるとゲームも終了となる。
Google Map上にしりとりの回答と位置をプロットすることもでき、その時の映像と共に記録される。手を触れないで操作できることを目指して自動起動、音声出力までは実装できたものの、音声入力は間に合わず、「24時間の開発イベントはやはりハードだった」とのことだ。
「渋滞も楽しい思い出に変えて残せれば」と開発され、見事「Honda賞」を受賞した。
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