2015年3月7、8日にヤフー主催の24時間の開発イベントが開催された。素材は提供されるが、何を作るかは自由。スマホアプリやIoTなど多彩な作品が出そろった。本稿ではイベントで作られた作品、面白ネタ、今回のハッカソンが生まれた背景などを紹介する。
2015年3月7〜8日、ヤフー主催によるハッカソン「Open Hack Day Japan 3(OHDJ3)」が東京ミッドタウンで開催された。3月7日正午から8日正午までの24時間で開発を行い、その後1チーム90秒のプレゼンを合計約4時間実施する。さらに1時間の展示会の後、受賞式という、とても密度の濃いイベントだ。
OHDJ3の特徴は、国内最大級といわれる参加人数と、素材を提供する協賛社が多彩なこと、そしてテーマが限定されないということである。多くのハッカソンは使用素材や開発テーマが決められている。このハッカソンではそういった制限なしに、自分たちの好きな技術を使い、好きなテーマについて開発が行える。ヤフー日本法人でハッカソンを始めた2007年当時はインターネットや携帯電話向けサービスが多かったが、その後iPhoneの登場によりスマホアプリが一気に増加した。またハードウェア作品が年々増えてきているという。
「メイカームーブメントの中でIntel Edisonのような製品が出てきており、Webエンジニアでも簡単にハードウェアを扱えるようになった」(ヤフー 執行役員 CMO スマートデバイス推進本部長 村上臣氏)ことも影響しているようだ。
今回の参加者数は350人、87チーム(うち5チームは最終的にリタイア)となった。参加者はWebエンジニア、ハードウェアエンジニアやデザイナー、学生、ITコンサルタント、はたまたモノづくり系アイドルなど多彩だった。協賛12社からは、“IoT時代の超小型コンピュータ”をうたう「Intel Edison」の開発プラットフォーム、Webから人型ロボットを制御できるマイコン基板「V-Sido CONNECT」などが提供された。
発表会ではIoTやウェアラブルデバイス、Augmented Reality(AR:拡張現実)などをキーワードとしたハードウェア作品やスマホ向けアプリが並んだ。夜中にノコギリの音が響くなどかなりの時間をモノづくり(工作)に当てるチームも多かったそうだ。展示会は今回新たに設けられたが、発表会だけでは作品について十分理解できない場合もあるからだという。「それぞれの作品が動いているのを近くで見てアイデアをぶつけ合い、よりアイデアを発展させてほしい」(村上氏)ということだ。以下に今回の受賞チームを中心に紹介する。
「ルーチンワークの家事を楽しいものに変える」をコンセプトにしたツール「カージバル」を発表したのが「ジャクソン伊藤」だ。カージバルはディー・エル・イーのアニメーションコンテンツ「秘密結社 鷹の爪」のキャラクターたちが掃除を楽しく演出してくれる。例えば皿洗いをすればDJのイラストと効果音が作業中の映像に重ねられ、布団を叩けば太鼓の音と“吉田くん”の合いの手が入るといった具合だ。腕にアルプス電気提供のマルチセンサーモジュールを付けて、加速度センサーの情報をスマホに送信、スマホで掃除の映像にアニメーションや効果音が重ねられる。皿洗いは加速度センサーのx、y方向、布団叩きはz方向の動きを検知しているが、この仕組みが特に難しかったという。家事をテーマに選んだのは、「常日頃やらないといけないが、なかなかモチベーションが上がらないこと」として全員の意見が一致したのが家事だったからだそうだ。同チームメンバーは普段は精密機械の開発やデザインに携わっている。
カージバルは「DLE賞」を受賞した。受賞理由は「IoTに対して言うなら、ディー・エル・イーは『EoT』、すなわち『全てのものにエンターテイメントを加えて面白く』という方針。それがチームのコンセプトと一致した」(ディー・エル・イー)とのことだ。村上氏は「ARは流行りそうだと言われつつ、実際にブームが定着したとは聞かない。だが音に着目すればいろんな応用があるかもしれないと感じた」とコメントした。
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