全固体電池採用製品を投入か、ダイソンが米ベンチャーに1500万ドルを投資:製造マネジメントニュース
英国ダイソンは、全固体電池の開発に取り組む米国のベンチャー企業Sakti3に1500万ドル(約18億円)の投資を行うことを発表した。
英国ダイソンは2015年4月6日、全固体電池の開発に取り組む米国のベンチャー企業Sakti3に1500万ドル(約18億円)の投資を行うことを発表した。この投資における契約には、将来のダイソン製品にSakti3の全固体電池テクノロジーを製品化し、搭載するための共同開発についても含まれているという。
現在のリチウムイオン(Li-ion)技術は、1991年にソニーが世界で初めて商品化。多くの電子機器に利用されるようになっている。しかし、現行のリチウムイオン電池には、サイズ、重量、充電時間、容量、寿命に技術的な限界が見えつつあるという。
全固体電池技術は、USBフラッシュドライブやマイクロチップなどに採用されている。従来の電池と同様、リチウムイオン技術を採用しているが、電解液ではなく固体リチウムの電解質を用いていることが特徴だ。固体電解質はより多くのエネルギーをバッテリーセルに蓄えることを可能にするとされている。
Sakti3は、2006年に自動車のバッテリー効率を向上させるため、数理最適化スキームの研究を開始。その研究過程で、従来のリチウムイオン電池の電解液の代わりに、固体電解質を用いる全固体電池を使用した全固体電池を開発した。その後、コスラベンチャーズ、ベリンジア、伊藤忠商事、ゼネラルモーターズ(GM)、ダイソンから5000万ドル(約60億円)以上の株式投資を得て全固体電池を製造するパイロットラインを構築し、開発に取り組んでいるという。
Sakti3はミシガン大学発のベンチャー企業で、バッテリー技術に関する論文を80件以上発表している。プロトタイプとしては、Sakti3の開発した全固体電池は、バッテリー密度で1100Wh/l以上を実現したとしている。現在は、さらに製造コストの削減、小型化、安全性と信頼性の向上、寿命の長期化実現に向けた取り組みを進めている。
- ダイソンの革新的製品は失敗の集大成から生まれた――「DC74」「AM09」を発表
ダイソンは、新型コードレス掃除機「ダイソン Fluffy コードレスクリーナー DC74 モーターヘッド」と、暖房と送風機能を搭載した「ダイソン Hot+Cool ファンヒーター AM09」を発表。開発責任者が、製品デザインや新製品開発における3Dプリンタ活用についても明かした。
- ダイソンの革新性――それは、徹底した「遊び」と「学び」から生まれる
今や“サイクロン式掃除機”の代名詞といえるDyson(ダイソン)。「革新を生み続ける企業」というイメージが強いが、どのような企業文化が根付いているのだろうか。キャニスター型掃除機の新モデル「DC48」の設計をリードした、シニアデザインエンジニアのMatt Steel氏に聞いた。
- トヨタの燃料電池車特許の無償公開に見る、4つの論点
トヨタ自動車は2015年1月6日に燃料電池自動車(FCV)の内外特許約5680件を無償公開すると発表しました。「なぜ特許を無償公開するのか」「なぜ2020年の期限付きなのか」「米テスラ・モーターズのEV関連特許開放との関連性」「ホンダとの協調の可能性」など4つの疑問点について、知財専門家が解説します。
- トヨタがEV開発に注力しない理由とは? 全固体電池が走行距離の限界を打ち破る
トヨタ自動車は、実用的な走行距離を持つ電気自動車(EV)を開発するために、現行のリチウムイオン電池よりも高いエネルギー密度を持つ「革新型電池」の研究開発を進めている。「エコプロダクツ2012」では、革新型電池の1つである全固体電池の開発成果を披露した。
- 容量がリチウムイオン電池の7倍!? 酸化物イオンを使う新原理の二次電池
東京大学大学院工学研究科教授の水野哲孝氏のグループと日本触媒は、現行のリチウムイオン電池の7倍に達するエネルギー密度を可能とする、新原理の二次電池の動作を実証したと発表した。この新原理の二次電池は、正極中における酸化物イオンと過酸化物イオンの酸化還元反応を利用する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.