この連載では、組み込みの世界では最も成功したプロセッサの1つ「ARM」を用いたマイコン開発にチャレンジします。今回は開発環境準備第2弾として、クラウド側の開発環境設定と、バイナリの書き込みまでを進めます。
組み込みの世界では最も成功したプロセッサの1つ「ARM」を用いたマイコン開発にチャレンジするこの連載、前回はローカルPC側の開発環境整備として、書き込み器を使うための準備を行いました。
今回はクラウド開発環境である「mbed」の設定と、mbedでソースをコンパイルして生成したバイナリファイルを実際にターゲットのマイコンに書き込んで実行させるところまでやってみます。なお、ターゲットマイコンに書き込むための回路は、ハンダ付けの必要がブレッドボード上に作製します。
mbed開発環境はWebブラウザ上で動作するオンラインIDE(Integrated Development Environment:統合開発環境)で、ソースコードをコンパイルし、ターゲットマイコンで実行可能なバイナリーファイルを生成できます。mbed.org上にはさまざまなライブラリや、世界中のプログラマーが登録したコードが用意されており、コードはインポートしてバイナリを生成できます。
mbedの開発環境を使うにはアカウントを作る必要があります。アカウントを作ることによって初めて、mbed開発環境の中に自分のプログラムを作製することができるのです。プログラムとはターゲットの実行ファイルをビルドするために必要なファイルをまとめて扱う単位です。その中にはソースファイルやヘッダーファイルそれにリンクに必要なオブジェクトファイルやライブラリーなどが含まれます。
それでは早速アカウントを作ります。https://developer.mbed.org/を開いてください。図1がmbedのWebサイトです(執筆時のものと多少デザインが変わっている場合があります)。
アカウントを作るには画面右上の緑で囲まれた“login or signup“をクリックします。するとサインアップ画面図3に飛びます。これから新規にアカウントを作る場合は右のSignupを選んでください。右下の“Signup“をクリックするとアカウント作成用のフォームが開きます図4。
入力項目はメールアドレス、mbedで使うユーザ名、パスワードと確認用パスワード、姓名を入力します。最後に利用規約に同意する旨のチェックボックスをチェックして、“Signup“ボタンを押します。すると本人確認メールが届きますので、そのURLをクリックすればアカウント作成は完了です。次回からはlogin時にユーザ名とパスワードを入力すればmbedが使えるようになります。
ここではどのターゲット(マイコンボード)を対象に実行ファイルを生成するかを選択します。ログインした画面の上部から“Platform”を選択してください。すると図5に示した画面に遷移します。現在mbedがサポートしているプラットフォームです。スクロールしてみれば分かると思いますが、NXP SemiconductorsやNORDIC Semiconductor、Freescale Semiconductor、ST Microelectronicsなどさまざまなメーカーの製品をサポートしており、その数は日々増えています。
それでは、この連載でターゲットマイコンとしている「LPC1114FN28」を選択してください。これをクリックすると下の図6に示すようにそのプラットフォームをmbedから使うために必要な情報を表示してくれます。このプラットフォームのコンパイル環境を追加するためには、画面右の“Add to your mbed Cmopiler”をクリックします。
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