注目デバイスの活用で組み込み開発の幅を広げることが狙いの本連載。第1回は話題のモータードライバ「MX1508」を試してみる。
こんにちは今岡通博です。しばらくごぶさたしておりましたが、再びここに戻ってこれてとてもうれしいです。本連載では、筆者が注目しているデバイスについて、実際にどのように活用できるかを紹介していきたいと思います。
さて、最近「MX1508」というDCモーター用のモータードライバICを入手しましたので読者の皆さんと情報共有したいと思います。モーターの取り扱い方など基本的なことは以前の連載記事を参考にしてください。
制御系からのモーターの駆動は最低トランジスタ1個でも可能ですが、正転/逆転させる場合は4個のトランジスタでHブリッジを組む必要があります。Hブリッジについては、筆者の過去記事を参考にしてください。
2個のモーターを制御するなら8個のトランジスタが必要ですね。モータードライバは、1個のICでモーター駆動の制御を行えるだけでなく、電磁ノイズ(以下、ノイズ)をある程度吸収してくれます。ノイズはマイコンなどを誤動作させる原因になりますが、その原因を突き止めることは困難です。一般的な対処としては適切な箇所にコンデンサーを入れますが、ノイズを見える化できる測定器などが充実した環境でないと難しいでしょう。そこで、トランジスタでモーター駆動回路を組むよりモータードライバを使う方が得策だと筆者は考えます。モーターのノイズについては以下の過去記事も参考にしてください。
今回取り上げるMX1508を紹介したい3つの理由があります。第1に、あまりネット上で情報が出回っていないこと。第2に、以前定番だったモータードライバに比べてピン数が少なくなり電子工作初心者にも使いやすくなったこと。第3に、非常に安価なことが挙げられます。海外の通販サイトでは0.46米ドル(送料別)のものもあるようです(執筆時)。まぁ圧倒的なコスパですよね。このように三拍子そろったMX1508ですが、筆者としては少し厳しい目で、使い勝手などを検証して行きたいと思います。
MX1508にはHブリッジに相当する回路が2組入っています。電源電圧は2〜10Vでそれぞれ1.5Aまでの負荷に耐えられます。それではモジュールのピン配列を見ていきましょう。次の図1を見てください。
右側のMOTOR-AとMOTOR-Bと書いてある4つのピンに、2個のモーターそれぞれの端子を接続します。これらの反対側、左側にあるINT1〜4と書いてある4つのピンが入力ピンです。INT1とINT2でMOTOR-Aに接続されたモーターを、INT3とINT4でMOTOR-Bに接続したモーターを制御します。そして、入力ピンの列の上に電源を供給する2つのピンがあります。
ブレッドボードとタクトスイッチを用いて、MX1508の基本動作を確認していきましょう。図2はブレッドボードに実験回路を実装したものです。
ブレッドボードは、上2段の電源ラインのみを使っています。電源電圧は5Vです。ブレッドボードの左側にタクトスイッチが4つ並んでいますが、一番右側の青いタクトスイッチを押すとプラスの電圧がINT1に伝わるように配線しています。右側から2番目の赤いタクトスイッチはINT2、同3番目の青いタクトスイッチはINT3、同4番目の赤いタクトスイッチはINT4にそれぞれつながっています。また、写真右側のモーターはデバイスのMOTOR-A、写真上側のモーターはMOTOR-Bにつながっています。
一番右側の青いタクトスイッチを押すとMOTOR-Aにつながったモーターが回転し、2番目の赤いタクトスイッチを押すと先ほどとは逆回転します。3番目の青いタクトスイッチを押すとMOTOR-Bが回転し、4番目の赤いタクトスイッチを押すと逆回転します。2つの青いタクトスイッチを同時に押すと2個のモーターが回転し、2つの赤いタクトスイッチを同時に押すと2個のモーターは逆回転します。もし思った通りの方向にモーターが回転しない場合には、そのモーターの配線を入れ替えてみてください。
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