矢野経済研究所は、国内のスマート農業市場の市場規模や参入企業の動向、将来展望について発表した。2024年度は可変施肥対応スマート田植え機システムなどの普及が継続し、市場規模は331億5400万円を見込む。
矢野経済研究所は2025年2月17日、国内のスマート農業市場の市場規模や参入企業の動向、将来展望について発表した。今後20年で基幹的農業従事者は現在の約4分の1まで減少する見込みで、スマート農業の普及拡大による収量(生産性)向上が課題となっている。
2024年度のスマート農業の国内市場規模は、前年度比109.9%の331億5400万円を見込む。2024年度は化学肥料をはじめとした農業資材の価格上昇を受け、施肥量を低減する可変施肥対応スマート田植え機システムや、生育マップを作成するリモートセンシングシステムなどの普及拡大が継続した。
また、大型ドローンを活用したリモートセンシングと可変施肥をする生産者も増えており、生育マップと連動した可変施肥システムの普及が進む。作物の生育不良の箇所だけにピンポイントで肥料を散布でき、生育のバラつきの解消と余分な肥料の施用や労力の削減につながる。
2024年10月にはスマート農業技術活用促進法が施行され、スマート農業技術に適した生産方式への転換が進められる。また、スマート農業技術を活用した農作業受託サービスの拡大や、農作物を調達する食品事業者による新たな流通、販売方式も対象になっており、今後は生産者以外へのスマート農業技術の普及拡大、地域の雇用創出および新たなビジネスモデルの創出が期待される。
2030年度の市場規模は788億4300万円まで拡大すると予測し、将来的には廃棄ロスが発生しない産地毎のリレー出荷計画立案、農業用ドローンやロボットなどのシェアリングサービスといった新たな農業ICTサービスの登場を見込む。
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