アイシン精機の「CEATEC JAPAN 2014」の展示物の中に、一見電動車いすにしか見えないものがあった。しかしこれは「搭乗型移動ロボット」なのだという。
2014年10月に開催された「CEATEC JAPAN 2014」は、IT・エレクトロニクス総合展示会ではあるものの、自動車関連企業も多数参加していた(関連記事:日産がいなくなったCEATEC、コックピット展示は大幅増加)。
アイシン精機もそのうちの1社だ。同社は大手ティア1サプライヤとして知られているが、今回展示したのはそういった車載システムはほとんど展示していない。家庭用コージェネシステムや「ASLEEP」ブランドのベッドなどで知られる住生活関連製品を中心に展示を行っており、体重検知センサー内蔵ソファや色素増感太陽電池なども展示していた。
ただし1つだけ、自動車との関連が感じられる展示があった。電動車いすをベースにした「搭乗型移動ロボット」である。
この搭乗型移動ロボット、電動車いすと同様に、搭乗者が座席に座り、操作レバーを使って移動するための乗り物である。ただし、右側手すりの前面に組み込んだ3次元レーザー測域センサーと3次元距離画像カメラで前方にいる歩行者などの障害物を検知。搭乗者の操作状況と照らし合わせながら、衝突の可能性がある場合には自動で減速し危険を回避する機能を備えている。
搭乗型移動ロボットと名乗ってはいるものの、同社の電動車いす「タオライトII-m」をベースにしていることもあって、電動車いすにしか見えない。ではなぜ搭乗型移動ロボットなのだろうか。
最大の違いは最高速度だ。電動車いすは法規制により時速6kmまでしか速度を出すことができない。これに対して搭乗型移動ロボットの最高速度は時速10kmとなっている。同社の説明員は、「自転車並みの機動力を持たせて、2〜3kmの生活範囲の中は屋内外を含めてシームレスにアクセスできるモビリティにすることが目的だった。最高速度6kmでは、その目的を達成するのは難しい」と語る。この機動力に加えて、障害物を検知して危険を回避するというインテリジェントな機能が加わっているからこそ、電動車いすではなく搭乗型移動ロボットになるわけだ。
搭乗型移動ロボットは、2011〜2013年度にかけて実施された、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「生活支援ロボット実用化プロジェクト」の開発成果がベースになっている。製品化時期は未定だが、「何とか実用化につなげていきたい」(同説明員)としている。
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