BASFジャパンは横浜イノベーションセンター内に「designfabrik Tokyo(デザインファブリーク東京)」を開設したと発表。BASFジャパンの取引先企業や工業デザイナーなどを対象に、同社が開発する高機能プラスチックやポリウレタンといった素材の活用に関するノウハウを提供する。
ドイツの化学大手BASFの日本法人であるBASFジャパンは2014年10月23日、横浜市内で会見を開き、横浜イノベーションセンター(横浜市緑区)内に「designfabrik Tokyo(デザインファブリーク東京)」を開設したと発表した。BASFジャパンの取引先企業や工業デザイナーなどを対象に、同社が開発する高機能プラスチックやポリウレタンといった素材の活用に関するノウハウを提供する。
BASFは2007年にデザインファブリークをドイツ国内に設立している。デザインファブリーク東京は、それに次ぐ2番目の拠点となる。日本国内での設立を決めた経緯について、会見に登壇したBASFジャパン 副社長 執行役員 機能性材料統括本部の瀬畑一茂氏は、「日本の市場には製品の機能だけでなく、かたちやデザインも大切にする成熟した文化がある。BASFジャパンはこれまで素材の機能という面や、事業部単位で顧客にアプローチを行ってきた。今回、デザインファブリーク東京を開設したのは、日本の市場に対してデザインという観点から分野を横断して貢献していきたいと考えたからだ」と説明した。
デザインファブリーク東京内には、これまでBASFがさまざまな企業と共同開発したプロダクトが展示されており、同社が開発した素材の活用例を展示するライブラリーとしての機能も備えている。こうした展示を参考にしながら、企業とBASFジャパンのエンジニアなどが各素材の活用例などを検討していく。また、企業と工業デザイナーやエンジニアのマッチングも行うとしている。
会見にはBASF ジャパン 機能性材料統括本部 デザインファブリーク東京 エグゼクティブ エキスパートを務める田中井俊史氏も登壇した。田中井氏は「デザインファブリーク東京の活動は、料理を作るシェフのような役割をイメージしている。BASFが開発した素材をただ見せるのではなく、どの素材を選ぶのか、それをどう活用するのかをしっかりとディスカッションしていく。こうした取り組みを通じて、企業やデザイナー、エンジニアの方などと一緒に、より価値の高い製品を開発していきたい」と説明した。
BASFジャパンはデザインファブリーク東京を通して、特に自動車の外観や内装のデザインに関する提案に注力していく方針だ。田中井氏は、自動車分野における採用例として、PSAグループのCitroen(シトロエン)ブランドが発表したSUV(多目的スポーツ車)「C4 CACTUS」の外装に、BASFが開発した熱可塑性ポリウレタン製のパーツが搭載された事例を紹介した。
田中井氏はその他の事例として、2012年10月に自動車用シートデザインのコンペティション「sit down.move」を開催した例も紹介した。デザインファブリーク東京内には、同コンペティションで特別賞を獲得したトヨタ紡織製のコンセプトシート「Aptus」が展示されてる。また、BASFが開発した素材で製造された、「Mercedes-Benz Aクラス」に採用されている樹脂素材のシートも展示された。
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