ドイツの化学大手BASFの日本法人・BASFジャパンは、2〜3年先の自動車のカラートレンド予測を発表した。今回発表されたグローバルなカラートレンドのテーマは、「Under the Rader(まだ見えないシグナル)」。そのシグナルとは?
ドイツの化学大手BASFの日本法人・BASFジャパンは2014年7月1日、東京都内で記者会見を開き、2〜3年先の自動車のカラートレンド予測を発表した。この予測は、BASFのグローバルデザインチームが、アジア太平洋、北米、欧州の各地域のトレンドを分析した内容を基に毎年発表されている。同社は地域を問わず共通となる今回のトレンド予測の基本テーマと、そこからさらに分析を進めた世界共通の3つのテーマに加え、各地域別のカラートレンドも紹介した。
BASFジャパンが今回予測した、数年後にトレンドとなる自動車のカラーの基本テーマは「Under the Rader(まだ見えないシグナル)」だ。BASFジャパンのコーティングス事業部でカラーデザインセンター アジア・パシフィックのチーフカラーデザイナーを担当する松原千春氏は「今回のテーマは個人にフォーカスしたものとなった。現在、世界ではレーダーに映らないような一人ひとりの独自の考えや行動といった小さなシグナルが相互につながりはじめている。その様子を細かく読み解くことで今後のトレンドが見えてくると考えた」と説明した。
同社は世界共通となるカラートレンドのテーマとして、ありのままの素直な感性が自分らしさだとする「MY PARTICULAR CHANNEL(私だけのチャンネル)」、テクノロジーによって進化する未来をイメージした「POWERFUL SCIENCE CROWD(パワフルな科学集団)」、社会がネットワーク化することでローカルとグローバルが密接になっていくイメージを反映させた「HYPER LOCAL SOCIETY(超地域社会)」の3つを発表した。地域別のカラートレンド予測のテーマは、アジア太平洋地域が「DEAR NEW IDENTITY(愛すべき新しいアイデンティティ)」、欧州が「DISTINGUISHED QUALITY UNDERCOVER(卓越した品質研究)」、北米が「SIGNIFICANT CLOSE CONNECTION(意義深い密接な絆)」となった。
MY PARTICULAR CHANNELでは、他者との違いや個性を尊重する態度をイメージし、ぬくもりを感じさせるトーンに強いエフェクトを加えたカラーが展示された。今まで北米地域ではメタリックなグレーなどが主流とされていたが、数年後には中間色が復活すると予測したという。
POWERFUL SCIENCE CROWDは、テクノロジーの進化の勢いを印象的なハイライトを持つカラーで表現したが、あくまでもその中心に人がいるということを意識している。例えば、ブラックカラーの場合、ただノーマルな色にするのではなく、オリーブ色を加えることで個人の個性を表現した。
HYPER LOCAL SOCIETYはSNSなど、ネットワークで構築された社会における新しいコミュニケーション形態により、公私や地域と世界などのさまざまな境界が曖昧になっている様子を表現した。カッパー(銅褐色)やグレイッシュカラーの質感で「曖昧さ」を表現しつつ、控え目ながらもユニークなカラーを採用することで、社会の中で主張する個人の存在感を表したという。
アジア太平洋地域のカラートレンドテーマであるDEAR NEW IDENTITYでは、ビビッドな力強いカラーがトレンドになるとして予測された一方、カッパー系、ブラウン系といった対照的なカラーも含まれた。これは、BASFがアジア太平洋地域のトレンド分析を行ったところ、2つの傾向が見られたからだという。ビビッドなカラーは、アジア太平洋地域の人々が他者に対して同調的な姿勢をとるのではなく、自分の個性を主張する方向に変化している様子を表現し、カッパー系、ブラウン系では、自分のルーツや文化、アイデンティティを見直し、情緒的でバランスのとれた快適な生活を目指すようになっているといった、人々が自己の内面を見つめ直す繊細な感情を表した。
また、欧州のDISTINGUISHED QUALITY UNDERCOVERでは洗練されたぜいたくがより人々を魅了するようになり、高品質な素材の美しさを押し出した上品なカラーがトレンドになると予想している。北米のSIGNIFICANT CLOSE CONNECTIONについては、故郷を大切にするシンプルなライフスタイルへの回帰するという予想を、パステルブルーやハイライトで輝くオレンジカラーで表現した。
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