車載Linuxのオープンソース活動は携帯電話機の轍を踏んではならない : 車載情報機器 (2/2 ページ)
水山氏がスピードが重要と説くのは、自身の経験によるところが大きい。
水山氏がAIS社に異動したのは2013年4月のことである。それまでは携帯電話機の開発に携わっていた。パナソニックの携帯電話機事業と言えば、直近では2013年9月に個人向けスマートフォンから撤退したイメージが強いかもしれないが、フィーチャフォンが製品の中核だった2000年代は国内トップクラスを誇るなど有力メーカーとして知られていた。
そのパナソニックが参加して2007年に結成されたのが、携帯電話機向けLinuxプラットフォームの開発団体であるLiMo Foundationだ。Linuxベースの携帯電話機の開発を担当していた水山氏は、携帯電話機に必要なLinuxプラットフォームのエコシステムを1社で開発するのは難しいと感じていた。そこで、オープンソースによる共同開発に活路をみい出し、LiMo Foundationの結成に尽力したのである。
左の図は、携帯電話機のソフトウェア規模の増大傾向を示している。OSもμITRONなどのリアルタイムOSからLinux、そしてAndroidに移り変わって行った。右の図は、携帯電話機向けLinuxプラットフォーム開発団体の推移である。LiMo Foundationの他にも、MeeGoなどがあったが、最終的にはTizenに統合された。このTizenは、AGLのリファレンスプラットフォームである「Tizen IVI」を開発している(クリックで拡大) 出典:パナソニック
しかし水山氏は、「携帯電話機向けLinuxプラットフォームのオープンソースプロジェクトでは、要件やアーキテクチャについての議論で意見が一致せず、結局は開発成果を実装するところまで行かなかった。そして、その“終わらない議論”の間に起こったのが、iPhoneとAndroidスマートフォンの台頭だった」と話す。
結成の経緯を見れば、LiMo FoundationもAGLも目指すところはほぼ変わらない。だからこそ水山氏は、「オープンソース活動では、議論だけに時間を費やすべきではない。開発成果を実装する必要がある」と主張するのだ。
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