ホンダは、交通渋滞を抑制する技術に関する公道実験を、2012年9月〜2013年2月にかけてインドネシアで実施。同技術を基に開発したスマートフォンアプリを使って、渋滞発生を平均で3〜4分遅らせるとともに、燃費を20%以上向上する効果が得られたという。
ホンダは2013年3月21日、交通渋滞を抑制する技術に関する公道実験を、2012年9月〜2013年2月にかけてインドネシアで実施したと発表した。同技術によって、渋滞発生を平均で3〜4分遅らせるとともに、燃費を20%以上向上する効果が得られたという。
交通渋滞は、ある車両が、前方車両の減速に対して急激な制動を掛けてしまい、それを見た後続車両も急激な制動を行うという連鎖によって発生する交通流の乱れが原因と言われている。渋滞を抑制するには、各車両が周囲の車両と同調した走行を心掛ける必要がある。もし、渋滞を抑制できれば、交通の安全性も高められ、自車だけでなく周囲数百台の車両の燃費を向上する効果も期待できる。
そこでホンダは、ドライバーが周囲の車両と同調した走行をしているかを、スマートフォンのディスプレイの色を変化させることにより一目で確認できるアプリを開発した。このアプリは、車両の加減速変動のパターンを監視しながら、渋滞の発生につながる走行をしているかを判断する機能を備えている。走行に問題のないときはディスプレイの色を緑で表示するが、渋滞につながる走行になったら紫に変更してドライバーに注意を促し、周囲の車両と同調した走行をサポートする。
インドネシアの高速道路運営会社PT. Jasa Margaの子会社であるPT. Jalantol Lingkarluar Jakartaが管轄するUlujami-Pondok Ranji高速道路(ジャカルタ)で行った公道実験では、2種類の方式を試した。1つは、このアプリを搭載したスマートフォン単体で運用する「単体型」である。もう1つは、複数の車両に搭載したスマートフォンをクラウドサーバに接続し、それらの車両の動きとその前方車両の情報も考慮して、同調した走行をサポートする「通信型」である。
単体型では、渋滞発生時間を平均で3分、最大6分遅延させることができた。渋滞の原因となる速度変化も、平均で約60%緩やかになったという。急激な減速を抑制することで、約20%の燃費向上効果も得られた。一方、通信型は、渋滞発生時間を遅延する効果が平均で4分に向上した。最大値は6分で同じである。速度変化が緩やかになる効果も、平均で約70%に高められた。この結果、燃費向上効果も約22%に増えたという。
高速道路の交通量と平均車速について、通常時と、同アプリを搭載するスマートフォンで周囲との同調走行が可能な車両を投入した場合の比較も行っている。
通常時は、交通量が3分間当たり200台以上に達すると、平均車速が急激に下がり渋滞が始まる。しかし、アプリによって周囲との同調走行が可能な車両を投入すると、平均車速が上がり、渋滞を最小限に抑制できることを確認できた。
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