ITS Japanは、自動車のプローブ情報を基に作成した通行実績情報の配信実験に関する成果を発表した。東京マラソンが開催されている時間帯、マラソンの走行ルートになるため自動車が通行できなくなっている靖国通りや第一京浜で、実際に自動車の通行実績がなかったことを確認できたという。
ITS Japanは2013年2月28日、自動車のプローブ情報を基に作成した通行実績情報の配信実験に関する成果を発表した。この実験は、東京、仙台/石巻、青森の3つのエリアを対象に、同年2月12日午後〜2月26日午前まで実施されたもの。
プローブ情報とは、移動する自動車を道路交通システム内における1個のプローブ(探針)と見なし、それらの自動車から得られるさまざまな情報のことを指す。代表的なものとして知られているのが、車両の位置情報と走行時の速度データから得られる交通情報である。ITS Japanは、2011年3月に発生した東日本大震災の際に、ホンダ、パイオニア、トヨタ自動車、日産自動車の4社が取得したプローブ情報を集計して、東北地方とその周辺で通行実績のあった道路に関する情報を知らせる「自動車・通行実績情報マップ」を公開。物流業者が支援物資を被災地に送り届ける際の交通情報として活用された(関連記事)。
今回の実験は、総務省の調査研究事業「災害時通行情報の流通・連携の促進に関する調査研究」に基づいて行われた。先述した4社に加えて、日立製作所、タクシープローブ実用化研究会、いすゞ自動車、UDトラックスの協力を得ることで、通行実績情報の更新頻度の向上や、プローブ情報取得対象の大型車までの拡大などを目的としている。
実験の結果、災害が発生した場合には、東京のような大都市では直近1時間分、仙台/石巻、青森のような地方都市では直近3〜6時間分の通行実績情報を配信できる可能性があることが分かったという。
また、配信実験の期間中である2月24日は、東京マラソンが開催されたため、マラソンの走行ルートを自動車は通行できなかった。今回の通行実績情報から、東京マラソンで通行止めになっていた靖国通り(都道302号線)は9時台、第一京浜(国道15号線)は9〜11時台、自動車の通行実績がなかったことを読み取れたという。
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