トヨタ自動車の新型「レクサスLS」は、「スピンドルグリル」の採用などの大幅な外形デザイン変更以外に、新たに搭載した先進安全システムにも注目すべきだろう。プリクラッシュセーフティシステムは、時速24マイル(約38.6km)以下であれば自動ブレーキで停車して、事故を未然に防げるようになった。
トヨタ自動車は2012年7月30日(米国時間)、高級車ブランド「レクサス」の最上位車種「レクサスLS」の新モデル(北米仕様車)を発表した。日本での発売は同年10月を予定している。
今回の新モデルはマイナーチェンジの位置付けとなっているものの、2006年9月のフルモデルチェンジ以来の大幅改良となっている。2012年1月発売の新型「レクサスGS」と同じく、フロントグリルに、逆台形のアッパーグリルと台形のロアグリルを組み合わせた「スピンドルグリル」を採用するなど外形デザインを大幅に変更している。
デザイン変更以上に注目すべきなのが安全システムである。トヨタ自動車は2011年7月、開発中の技術として多数の先進安全システムを発表したが、レクサスLSの新モデルにはこれらのうち2つが搭載されているのだ。
まず、衝突事故の被害を軽減するプリクラッシュセーフティシステム(PCS)は、ミリ波レーダーとステレオカメラで歩行者や前方車両を検知し、時速24マイル(約38.6km)以下であれば自動ブレーキによって停車して事故を未然に防げる「衝突回避支援PCS」を採用した。従来のレクサスLSのPCSは、衝突の直前にブレーキによって速度を低減して衝突被害を減らせるものの、自動ブレーキによる停車はできなかった。夜間でも、近赤外線投光器によって歩行者や前方車両を検知できるので、昼間と同じ自動ブレーキによる停車が可能だ。
もう1つは、先行車のテールランプや対向車のヘッドランプを車載カメラで検出し、自車のヘッドランプのハイビームとロービームを自動で切り替える「AHB(Automatic High Beam)」をさらに進化させた「AHS(Adaptive Hi-beam System)」である。AHSは、車載カメラで検知した先行車や対向車の部分だけ遮光しながら、他の部分をハイビームで照射することで、前方車両を幻惑することなく自車の前方視界を確保できる。2011年7月発表時の「ADB(Adaptive Driving Beam)」から、AHSに名称を変更した。
これらの他に、2012年7月に発表した新型「レクサスES」に搭載した「BSM(Blind Spot Monitor)」も搭載している。BSMは、時速10マイル(約16.1km)以上で走行しているときに、自車の死角に当たる斜め後方を走行している車両をミリ波レーダーで検知し、インジケータの点滅で注意喚起するシステムである。駐車時などにシフトレバーをリバース(バック)に入れた場合に、同じミリ波レーダーで自車の後方の車両を検知して運転手に知らせる「RCTA(Rear Cross Traffic Alert)」の機能も併せ持つ。
カーナビゲーション画面などを表示するためにダッシュボード中央に設置するディスプレイは12.3インチのワイドサイズ(縦横比は24:9)となっている。これにより、カーナビゲーションなどのメイン画面に加えて、車両情報などのサブ画面も同時に表示できる。新型レクサスGSにも採用されているものだ。
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