日産自動車は2014年から、北米市場向けのSUV「ローグ」を、ルノーサムスン自動車の韓国・釜山工場で生産する。生産規模は、釜山工場の生産能力の約27%に相当する年間8万台だ。
Renaultと日産自動車のアライアンス(ルノー・日産アライアンス)は2012年7月20日、ルノー傘下の韓国自動車メーカーであるルノーサムスン自動車(RSM)に1億6000万米ドル(約126億円)を投資すると発表した。これに合わせて日産自動車は、北米市場などで販売しているSUV(スポーツ多目的車)「Rogue(ローグ)」の次期型モデルを、ルノーサムスンの釜山工場で、2014年から年間8万台の規模で生産することを決めた。
ルノーサムスンの釜山工場の生産能力は年間30万台だが、同社の韓国国内市場での販売や海外輸出が不振なこともあってこの生産能力を使い切れていない。同社は、「RSM 2012 リバイバルプラン」と呼ぶ事業計画で、小型車「SM3」、中型セダン「SM5」、大型セダン「SM7」、SUV「QM5」を中心に、釜山工場の生産規模を2012年中に年間18万台まで引き上げる方針を打ち出している。さらに2013年には、SM3をベースに開発した電気自動車「SM3 ZE」の生産を予定している。2014年にローグの8万台が加われば、釜山工場の年間30万台という生産能力の80%以上を使いきれる計算だ。
日産自動車はこれまで、ローグを日産自動車九州(福岡県苅田町)で生産していたが、円高の影響を避けるために2013年からは米国テネシー州のスマーナ工場に生産を移管する予定。次期モデル投入による需要拡大を見込んで、スマーナ工場に加えて、釜山工場でも生産することになった。
ローグは、国内向けの「デュアリス」(欧州向けは「キャシュカイ」)を、大型化した北米仕様の小型SUV。北米市場では2007年9月に発売された。2008年11月からは韓国でも販売されている。
ルノーと日産自動車のCEO(最高経営責任者)を務めるカルロス・ゴーン氏は、「韓国での生産能力の増強は、ルノーサムスンのコスト競争力強化と成長に対する目標を達成するために、ルノー・日産アライアンス全体でサポートすることを明確に示したものだ」と述べている。
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