技術者の主要3科目を「QCD」と呼びます。
品質(Q:Quality)とコスト(C:Cost)と期日(D:Delivery)のことです。残念ですが、日本の材料教科書は、「Q」だけの記載で、「C」と「D」の情報が皆無です。特に、「C」に関しては「高い材料」「安い材料」という概念の記載しかありません。
学者はこれでいいかもしれませんが、職人はそうもいきません。従って、材料の「QCD」情報の入手が職人には必須です。そして、前述5種の材料は、「C」と「D」に関して全く問題はありません。問題がないからトップランキングなのです。
また、「Q」に関して、生産性も問題ありません。生産性とは加工のしやすさです。加工性が良いからトップランキングなのです。つまり、前述5種の材料に関しては、以降で紹介する表1と表2に記載される材料特性(Q)だけで十分です。
それでは、甚さん! 板金材料のランキングに沿ったその材料特性を教えてください。
ホイきた、どっこい!
次に掲載する表1と表2は、図4のランキングに従った材料特性表です。設計する際に必要な情報だけを厳選しました。
筆者は度々、クライアント企業様が開催する設計審査にゲスト審査員として招かれます。第三者の立場で審査する重要な役目と自負しています。そこで気が付くことは、機械系技術者は、「応力」や「変形」に関しては強みがありますが、以下の分野が苦手なようです。
それは……。
1.は、前回の「ボルタの電池」で解説しましたので、次回は、2、3、4とそれらに関する「目利き力」を強化しましょう。次回もご期待ください。(次回に続く)
國井 良昌(くにい よしまさ)
技術士(機械部門:機械設計/設計工学)。日本技術士会 機械部会 幹事、埼玉県技術士会 幹事。日本設計工学会 会員。横浜国立大学 大学院工学研究院 非常勤講師。首都大学東京 大学院理工学研究科 非常勤講師。
1978年、横浜国立大学 工学部 機械工学科卒業。日立および、富士ゼロックスの高速レーザプリンタの設計に従事。富士ゼロックスでは、設計プロセス改革や設計審査長も務めた。1999年より、國井技術士設計事務所として、設計コンサルタント、セミナー講師、大学非常勤講師としても活躍中。Webでは「システム工学設計法講座」を公開。著書に「ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』」(日刊工業新聞社)と「ついてきなぁ! 『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!」(日刊工業新聞社)がある。
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