日立製作所は、素材メーカー向けに新材料開発の期間やコスト削減を支援する「材料開発ソリューション」の提供を開始する。分析システム環境をクラウド形態で提供するサービスや、AIを活用した材料分析代行サービスが含まれる。
日立製作所(日立)は2017年10月11日、素材メーカー向けに、新材料開発の期間やコスト削減を支援する「材料開発ソリューション」を発表した。同年11月1日より提供を開始する。同ソリューションの内容は「材料データ分析環境提供サービス」や「材料データ分析支援サービス」などで、価格はそれぞれ個別見積もりによる。
近年、より短期間に低コストで材料開発をするため、コンピュータ解析によって材料開発の指針を見いだすマテリアルズ・インフォマティクス(MI:Materials Informatics)が注目されている。日立はこれまで、高エネルギー加速器研究機構に対してMIを活用したデータ分析システムの開発を支援してきた実績がある。今回のサービスでは、これらのプロジェクトで得た材料特性の予測などのノウハウを汎用化して提供する。
材料データ分析環境提供サービスでは、MIに必要なシステム環境をクラウド形態で提供する。材料開発でのシミュレーションデータや実験データを高速に分析し、磁場や温度、圧力などによって、材料特性の変化がいつ、どこで発生するかをWebブラウザ上でグラフ化や3次元表示する。
従来は時間短縮のために平均値などを利用した分析が一般的だったが、今回の分析システムでは、生データの高速分析が可能だ。高速処理できるデータベースや、データ統合・分析基盤の「Pentaho ソフトウェア」「GeoMation 地理情報システム」などを活用し、大量データを迅速に処理や可視化できる。研究内容やデータ様式に合わせたシステムのカスタマイズも容易で、Webブラウザから簡単にデータを確認できるため、分析者間での情報共有が円滑になる。
また、材料データ分析支援サービスは、日立が材料のシミュレーションデータや実験データを預かり、分析を代行する。機械学習やAI(人工知能)などを活用した分析により、形や構造がある程度決まっている無機材料をはじめ、組み合わせの自由度が高い有機材料の分析も可能だ。預かったシミュレーションデータや実験データ、他種データから多角的に材料特性を推測する。また、期待する材料特性になるための条件を探査し、今後の実験候補を提示することもできる。
他に、分析システムの活用方法の問い合わせなど、システム利用をサポートする「材料データ分析運用サポートサービス」や、研究内容やデータ様式に合わせて分析システム基盤をカスタマイズする「材料データ分析アプリカスタマイズ」も同ソリューションに含まれる。
同ソリューションを活用することで、材料を高性能化する要因の予測や特定が可能となり、実際の材料を用いる実験の前に予備分析ができるため、実験回数や関連コストを削減し、材料開発の効率化につながる。
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