銅や樹脂の強度は、「0.2%耐力」で示す。「ばね限界値」は、それとよく似ているけれど、何が違うのか。
根川 甚八(ねがわ じんぱち)
根川製作所 代表取締役社長。団塊世代の大田区系オヤジ技術屋。通称、甚さん
国木田良太(くにきだ りょうた)
ADO製作所 PC事業部 設計2課 勤務。80年代生のイマドキな若者。機構設計者。通称、良君
しっかしようぉ、良君。何度も言うがよぉ、「これを知らないということはアルミ材料を選べない!」というせりふには、職人としても感心したぜぃ! あっぱれだぁ、成長したなぁ!
アルミ材料の選択で必須の「目利き力」は、「疲れ強さ」ですよね。図1を見てみましょう。同じアルミ材料といっても、その「疲れ強さ」には、大きなばらつきがあります。実は、さすがの僕でもばらつきまでは知らなかったんです。
最近のオメェはていしたもんだ。「頑張れ、日本。頑張れ東北」ではなく、まずは、自分が頑張る――よくこれを実践しているなぁ。感心、感心! それにしても日本の電機メーカーは元気がねぇよなぁ!
でも甚さん、実は前回……、ぎくっ! っとしたところがあったんです。それは……「折れたから強くしました」というところです。
前回、甚さんはこんなことを言っていました。
『職人ならよぉ、「強度を上げる」という概念じゃなくてよぉ、数値で答えろってんだ』
「強度を上げる」とは、以下の単位系を有する「特性値」を上げるということでしたね?
設計審査(デザインレビュー)にて、設計者も審査員も、上記の1から5に示す単位系を使って軸の強度を上げた、と説明や質問をしなくてはなりません。
甚さん、そうですよね。テレビショッピングで、「お安くしておきました!」なんて言うと、お客さまは「品質を落とした」と思うそうですよ。だから……。
例えば「足が折れたタラバガニ」とかなら、「訳あり」で「お安くしておきました!」って理由を消費者にキチンと伝える時代だな。
たとえが具体的ですけど、甚さんも、テレビショッピングよく見るんですか? 意外ですね〜。
オイラじゃねぇよ。うちのカミサンがよく見てんだよぅ。そんじゃよぉ、「引張り強さ」「降伏点」「疲れ強さ」と解説してくれたからよぉ……。次は、「0.2%耐力」と「ばね限界値」の解説を頼むぜぃ!
ギクーリ(汗)
ドッ、どうした、良君。顔色が悪いぞ? あん? 失恋でもしたかぁ?
……む、昔から「ニッパチ」と言いまして、ヒマだったり、景気が悪かったりする2月と8月のことを意味しますけども……、その〜……、僕の場合、なぜか逆に2月が忙しくて……ですね、ちょっと、疲れていたりしまして……。
前回も見栄を張ってしまった良君ですが、本当は「0.2%耐力」と「ばね限界値」を知らないのです。
そうだったのかぃ。忙しいときこそ、まずはストレス解消だぜぃ! そんじゃよぉ、アキバの手羽先屋は飽きたからよぉ、両国にちゃんこ鍋でも食いにいくかぁ、あん? 最近、寒いしなぁ〜。
フゥ……、ちゃんこですか、そうですね……、行きたいですね……。いつ行きましょう……。
「それは、あなたが、決めることです」。
もう「家政婦のミタ」は終わりました……。そんなこと言っている場合ではないんです……。
おいおい、本当に元気ねぇじゃねぇかい。そんじゃよぉ、オレサマが解説すっか? あん?
(心の声)……シメシメ、うまくいったぞ。ところで、僕っていつからこんな悪知恵が働くようになったんだろう? まずいなぁ。
良君も前回説明していたがよぉ、「応力−ひずみ線図」で、明確な「降伏点」を持たないアルミ材は、「降伏点」の代用としての「目利き力」に「疲れ強さ」が存在するんだ。そして、銅や樹脂はよぉ……。
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