以降は、大変重要な項目に入っていきますので、まずは、ここで第5回を復習しておきましょう。それは、EVは「設計が命」です。その認識をもう一度深めましょう。
もう、お分かりですね。
EVは、家電品の仲間入りをしました。EVの設計を成功させるための材料は板金、その次は樹脂です。これは部品点数分析からいえることです。筆者は、このコンセプトで隣国のEVチームを指導しています。
しかし、コスト分析からは仰天の逆転となります。
重要事項につき、もう一度、図5で認識しましましょう。
学校では材料に関する樹脂関連の情報はとても少ないです。設計や製図に至っては「皆無」です。だから、学校を卒業しても「図面読めない、描けない院卒!」って言われてしまうんですね?
ちょいと待ちねぇ! オレサマさまが、「図面読めねぇ描けねぇ院卒!」って言っている分にはいいけどよぉ、良君に言われちまうとよぉ、なんか、かわいそうになっちまうぜぃ。
甚さん、聞いてくださいよ。僕の学校では、いまでも、製図の授業で3次元CADを導入する予算がなくて、方眼紙と三角定規の授業ですよ。これで隣国の企業と、どう戦えっていうんですかね?
言葉を失なっちまうぜぃ。オレサマはよぉ、企業に対してはちょいとウルせぇこと言っちまうがよぉ、ちと、学校のことにはなぁ……。そんじゃ、樹脂材料のランキングにへいるぜぃ!
ちょっと歯切れが悪い甚さんですが、早速、図6で樹脂材料の「部品点数別ランキング」を見てみましょう。恐らく、皆さんが初めて見るデータかと思います。
本連載では、切削用材料、板金材料、ばね用材料と紹介してきました。これらのランキングは上位70%で切ってきましたが、樹脂の場合、この70%切りを適用すると、「PMMA」「PP」「PC」のたった3種となります。
設計初心者の場合は、この3種を徹底理解するといいでしょう。
しかし、「樹脂設計が機械設計を制す」となれば、前述の3種では無理があります。図中の94.5%となる6種類は必須の材料となります。2段階のステップを踏んで理解しましょう。
まず図7に示す上位3種類の樹脂特性をしっかり押さえましょう。押さえるとはどういうでしょうか? 答えは簡単です。今回伝授した「目利き力」を使えばいいのです。
じゃ、今から、ちゃんこ鍋食いにいきましょーか!
ハァッ!? オメェ、もうすっかり元気じゃねぇかぃ!
2011年末は、技術士の山田学先生と両国でちゃんこ鍋を囲み、忘年会をしました。大盛況で日本復興のために尽力することを誓い合いました。
JR総武線両国駅には、あの両国国技館や、江戸東京博物館がありますが、やはり、大きな楽しみは「ちゃんこ屋さん」でしょう。筆者のお勧めは、オーソドックスな「塩味」「鶏がらスープ味」です。
ところで、国技館の所在地は「東京都墨田区横網一丁目3番28号」です。この地名を「よこづな」と読む人がいますが、「よこあみ」です。すごく似ている漢字ですね。
一方、「江戸東京博物館」を「大江戸博物館」という人がいますが、そのような名称の博物館は存在しません。温泉なら似ている名称がありますけど……。ぜひ、アキバにくるようなときは、両国まで足を延ばしてください。スカイツリーが完成する前がチャンスです。
國井 良昌(くにい よしまさ)
技術士(機械部門:機械設計/設計工学)。日本技術士会 機械部会 幹事、埼玉県技術士会 幹事。日本設計工学会 会員。横浜国立大学 大学院工学研究院 非常勤講師。首都大学東京 大学院理工学研究科 非常勤講師。
1978年、横浜国立大学 工学部 機械工学科卒業。日立および、富士ゼロックスの高速レーザプリンタの設計に従事。富士ゼロックスでは、設計プロセス改革や設計審査長も務めた。1999年より、國井技術士設計事務所として、設計コンサルタント、セミナー講師、大学非常勤講師としても活躍中。Webでは「システム工学設計法講座」を公開。著書に「ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』」(日刊工業新聞社)と「ついてきなぁ! 『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!」(日刊工業新聞社)がある。
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