その設計できちんと製造できる? 不良品ばかりということがないよう、製造上の問題点を事前検出するツールを紹介
これまでの連載記事で、電気回路の検証やプリント基板用のCAD、ノイズ解析や対策について紹介してきました。実際の開発現場でも、必要に応じてこれらのEDAツールを駆使しつつ、回路が意図したとおりに動作するようにプリント基板を設計しています。
今回は「設計の後工程である製造がその設計できちんとできるのか」「作ってみたら不良品ばかりでダメだった」ということがないように、事前に製造上の問題点を検出するツールを紹介します。
プリント基板の製造上の問題には、設計に起因するもの、または設計で対策すべきものなどいろいろとありますが、実際に問題が発生する頻度が高いものとしては主に以下の項目があります。
穴とパッド(ドーナツ形の銅はく)の位置がずれてパッドを分断してしまうと、そのプリント基板は不良となってしまいます。そのため分断してしまわないようにパッドサイズには十分な余裕が必要ですが、設計の設定ミスなどでこれが不足することがあります。
銅はくなどで、形状が鋭角になった先端部分や微細な部分のことです。このスライバは製造中にはがれやすく、はがれたものがゴミとして工場内を浮遊し、製造中のほかの基板に付着してショートや断線の原因となり、歩留まりを下げます。設計ではスライバを極力作らないようにしなければなりません。
製造工程で使用される薬品成分が洗浄工程で除去し切れず、銅はくの微細なすき間やピンホールなどにわずかに残ってしまうことがあります。これが数カ月〜数年の時間をかけてプリント基板や部品を腐食し、回路の断線や腐食生成物によるショートを引き起こします。ショートは火災の原因となるので大変危険です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.