設計は終わったけど、図面作成が山のように残っている……。プリント基板の図面を簡単に作成する方法は?
前回の記事では、DFMと呼ばれる製造性解析とは何か、なぜプリント基板の設計段階で製造性の考慮が重要なのかについて紹介しました。このシリーズ最終回である今回は、プリント基板の製造や、製造されたプリント基板に部品を実装する際に必要な「図面」や「指示書」の作成に関する課題に触れます。
プリント基板の設計が完了しても、設計者の仕事はまだ残っています。それは製造や部品実装のための図面の作成です。あるデータによると、この図面作成に要する時間はプリント基板開発全体の20%を占めるといわれています。
このように図面作成は時間がかかります。また、図面が分かりづらかったり、ミスがあると製造の遅延や問題が発生してしまいます。しかし、現実には図面作成の重要性はあまり認識されておらず、雑用的な扱いで軽視されることが多いのです。
プリント基板は専用のCADを使って設計されますが、設計の成果物は図面ではなく、製造用のデータをCADから出力するだけとなります。製造用データとは、主に加工機を制御するためのデータ(NCデータと呼びます)と、マスクフィルムに焼き付ける形状のイメージデータ(ガーバーデータと呼びます)です。製造工場はこれらのデータを受け取り、これを基にプリント基板を製造します。
ただし、製造データだけで完全に製造できることはなく、製造や部品実装には図面や指示書がどうしても必要です。しかしプリント基板用のCADは、図面や指示書の作成が苦手なのです!
では、プリント基板用の図面はどのように作成されているのでしょうか? いくつかのケースがあります。
これ以外にも、グラフィックス編集ツールやCADを組み合わせているケースがあります。いずれのケースでも効率が悪く作業時間が多くなり、作業が煩雑でミスの発生も多くなります。また、設計にはつきものの変更時にも、わずかな変更内容でも多くのレイヤの画像を差し替える必要があるなど、新規作成と同程度の時間が必要になることが少なくありません。
これらプリント基板用図面作成に関する問題のほとんどは、専用のツールがなかったことに起因しています。
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