直角度について、JISでは、「直角度(Perpendicularity)とは、データム直線またはデータム平面に対して直角な幾何学的直線または幾何学的平面からの直角であるべき直線形体または平面形体の狂いの大きさをいう」と定義されています。
データムに対して直角であって欲しいという形体に対して指示するものです。
平行度と同様に、加工者の不注意がない限り、旋盤やフライス盤で加工された部品の面や穴の直角が大きく崩れることは、ほとんどありませんが、設計意図を表すために必要な場合はその旨を加工者に伝える必要があります。
寸法公差では直角のバラツキを、例えば「90°±30’」(90度±30分)のように表現できますが、直角度で指示する領域は“角度の”バラツキではなく、“領域の”バラツキであることを理解しましょう。
図5に示す図面例は、ブロックの左側面をデータムとし、最上面全体がデータム平面に直角な0.03mm離れた平行2平面の中にあれば合格品と判断されるものです。
下面と最上面に高さの寸法公差が記入されていますが、独立の原則に従うため、高さバラツキ(±0.1mm)とは無関係にデータムA面に対する直角度を満足させればよいということです。
図6に示す図面例は、右側面図におけるブロックの右側面をデータムとし、穴の中心線がデータムと直角な直径0.02mmの円柱の中にあれば合格品と判断されるものです。
下面と穴の中心線高さに寸法公差が記入されていますが、独立の原則に従うため高さバラツキ(±0.1mm)とは無関係にデータムA面に対する直角度を満足させればよいということです。どちらの例も、直角という姿勢だけを規制するものであって、幾何公差として位置までは規制しません。
JISによると、「傾斜度(Angularity)とは、データム直線またはデータム平面に対して理論的に正確な角度を持つ幾何学的直線または幾何学的平面からの理論的に正確な角度を持つべき直線形体または平面形体の狂いの大きさをいう」と定義されます。
データムに対して指定された角度であって欲しいという形体に対して指示するもので、平行度と直角度の違いは、指定する角度を理論寸法として四角い枠で囲って表記したものと組み合わせて使用することです。
平行度や直角度と同様に、加工者の不注意がない限り、フライス盤で加工された部品の面や穴の傾斜が大きく崩れることは、ほとんどありませんが、設計意図を表すために必要な場合はその旨を加工者に伝える必要があります。
寸法公差では指定された角度のバラツキを表現できますが、傾斜度で指示する領域は角度のバラツキではなく理論寸法で指示された傾きを持つ平行2平面間であり、解釈が異なることを理解しましょう。
図7に示す図面例は、ブロックの下面をデータムとし、右側の斜面全体がデータム平面に対して理論的に正しい50度の傾きを持ち0.03mm離れた平行2平面の中にあれば合格品と判断されるものです。
下面と最上面に高さの寸法公差が記入されていますが、独立の原則に従うため高さバラツキ(±0.1mm)とは無関係にデータムA面に対する傾斜度(ここでは50度)を満足させればよいということです。
図8に示す図面例は、ブロックの下面をデータムとし、穴の中心線がデータムに対して理論的に正しい60度の0.02mm離れた平行2平面の中にあれば合格品と判断されるものです。
右側面と上面における傾斜穴の中心軸との距離に寸法公差が記入されていますが、独立の原則に従うため距離バラツキ(±0.1mm)とは無関係にデータムA面に対する傾斜度(ここでは60度)を満足させればよいということです。
どちらの例も、ある指定された角度という姿勢だけを規制するものであって、幾何公差として位置までは規制しません。
このように代表的な3種類の姿勢公差を確認しました。機能上どの幾何特性を指示することが最適なのか、十分理解を深めてください。
形状公差はその絶対的なカタチを、姿勢公差はデータムに対する角度を規制しました。次回は4つのグループに分類される幾何特性のうち、位置を制御する「位置公差」について解説します。位置公差である「同軸度」や「対称度」などを図面に反映させるだけで加工に親切な図面に早変わりです。設計形状に必ず要求される形状であるにもかかわらず、寸法値ではうまく表現できない場合であっても、加工者に対して設計意図を明確に伝えられます。(次回に続く)
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