設計意図と併せ加工現場の事情もできるだけよく考えながら幾何公差を指定する。それが部品や製品の品質を高める。
「どうやって加工するべきか」「どうやって計測をするのか」、設計者がそれらをよく知らずに図面に幾何公差を書いてしまうなんて、無責任だ! と感じる人は多いと思います。
しかしそうはいっても、設計者は万能な神様ではありません。加工事情の全てを把握することはさすがに不可能でしょう。書籍や人からの伝聞で得た知識と、加工現場で実際に作業してノウハウを蓄積した人の知識とでは情報の質の差がどうしても出てしまうものです。
ですから設計者は、現場の加工者並に深い加工知識を理解する必要はありません。あくまで加工者に対し、こちらの設計意図を正しく、かつ加工者が作業しやすいように伝えるための必要最低限な加工知識を習得すればいいでしょう。
*筆者注:本記事で使用する写真は、雇用・能力開発機構 京都センターのご協力の下、撮影させていただきました
部品加工の種類は、「部品の形を作る」という視点で分類すると、次のようになります(表1)。
まず上記の中で、最も基本的な加工法である切削加工のうち、旋盤加工とフライス加工について解説します。
写真1のような旋盤による切削加工の特徴は、以下です。
*NC(Numerical Control)とは、工作物の位置や運動を数値化し自動制御により加工することです。
母材を回転させるために固定するものがチャックです。チャックには、「3つ爪(みつづめ)チャック」と「4つ爪(よつづめ)チャック」があります。それぞれの特徴は以下のようになります(写真2にそれぞれのチャックの構造を示しました)。
写真3のようなフライス盤による切削加工の特徴は、以下です。
*マシニングセンタとは、NCフライスに自動工具交換装置(ATC)が付いたものです。
例えば図1のような図面があったとして、皆さんが加工者であった場合、どのように加工するでしょうか?
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