まずは寸法記入の基準を見極める方法を確認しよう。効果的な幾何公差記入をするために大事な知識、あなたはちゃんと理解している?
本連載では、「幾何公差」について解説していきます。早速幾何公差の話に入りたいところですが、幾何公差を使う上で理解しておかなければいけない知識があります。それは「幾何公差に必要な寸法記入の考え方」と「幾何公差に必要な加工知識」「幾何公差に必要な計測の知識」です。今回から3回にわたって幾何公差の基礎作りをしていきます。
製図をする上で投影図を決める際、その対象物だけを見て投影レイアウト(投影面・投影方向・断面や補助的な投影図の有無など)を判断します。つまりCAD上で描かれている組立図とは切り離して、図面の読みやすさ、すなわち加工のしやすさを考慮して投影図が決まります。しかし寸法を記入していくに当たり「投影図だけでは何が基準か」「どの穴とどの穴が関連するのか」など、その部品が持つ機能に関する情報が何もありません。従って、寸法を記入する際はCAD上で描かれている組立図に戻り、その部品が持つ機能を把握しなければいけません。
もちろん、設計者自身が作図する場合は、組立図を見なくてもその部品の機能や基準が分かりますが、設計者以外のトレーサーなどが製図を行う場合、組立図から判断せざるを得ません。しかし自分で設計していなければ、組立図全体を把握することは不可能です。そこで、これから寸法を記入しようとする部品周りの関係(取り付け基準面や穴の位置関係など)だけでも、CADから抜き出して理解する必要があります。
それでは、図1に示す3次元組立図から、ブロックの寸法を入れる場合の思考過程を確認してみましょう。まず、最初に組立図の部品構成からブロックの基準となる部位を探してみます。ブロックがどのように組み立てられているか、3次元モデルの情報を基に箇条書きにしてまとめると、次のようになります。
ダボとは、2枚の板金を合わせる際、一方の板金の穴に対して挿入する位置決め用の突起のことです(図2)。板金の位置決めだけに使うのではなく、この突起を利用して板金リンク同士を接近して配置したときの接触面積を減らすなどの用途にも使われます。
設計意図を組立図から読み取って理解することは、製図を行う際、図面品質を大きく向上させます。「設計意図が明確でない」あるいは「目的が明確でない」部品は、その存在自体から考え直して、なくしてしまう、あるいはほかの部品と合体させるなどします。その結果、部品点数が削減され、コストダウンが図れます。
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