JISの一般原則(寸法記入方法)に『寸法は必要に応じて基準とする点、線または面を基にして記入する』と示されています。図3の2次元組立図から基準となる部位を探してみましょう。
基準を探す際に、一般的に次の2点でアプローチします。
このブロックをベースに取り付ける手順を考えます(図4)。
このブロックはロータリーダンパーの一部を固定しています。固定する手順を以下のように考えます。
図4と図5から、このブロックの基準となる面や線が見つかりました。
この基準となる面や線から寸法が引かれていきます。図4と図5からでは、基準とすべき面や線は少ないように感じますが、その基準面と基準線に関係する寸法線を赤く表示すると以下の図6のようになり、半分以上のウェイトを占めていることが分かります。
さらにブロックの寸法(寸法公差)や形状(幾何公差)のばらつきを小さくすることで精度を向上させる場合は、必要に応じて赤く表示した寸法に、寸法公差を追加、さらには幾何公差を追加すればよいのです。
寸法記入にはプライオリティ(優先度)があります。機能上重要な部分を優先し、必要に応じて寸法公差や幾何公差を指示します。しかし加工現場からのフィードバックとして、加工に合わせた寸法記入が必要な場合もあります。製品の品質・信頼性を保証するのは設計者の責任ですから、関連部門と協議の上、機能性、加工性、計測性のトレードオフ(一方を満足させれば、他方が不満足になること)を考慮して、寸法を記入してください。
次回は、幾何公差を使用するに当たり最低限必要な知識として、旋盤加工・フライス加工、そして計測機器について解説します。(次回に続く)
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