モデルの審査方法は地方大会と同じく、1次審査と2次審査に分けて行われた。1次審査では、各チームから提出されたモデルを細かい審査基準に沿って点数化する定量評価が取られている。今年は1次審査の段階で50チームのモデルが提出されたため、審査員を3チームに分け、審査したという。その後、それぞれの審査チームが見た結果を審査員全員でレビューをすることで、審査のキャリブレーション(調整)が行われた。よって全審査員は、50チームすべてのモデルを必ず1回は見ているとのこと。最終的に点数の高い上位10チームが、1次審査を突破した。
実質的には最終審査ともいえる2次審査では、各審査員が自分の持っている持ち点を好きなモデルに投票する形式が取られた。まずは上位10チームから3チームを選別し、その後その上位3チームの中から1人1チームに投票。上位3チームを決定したという。
1次審査(定量評価)では、欠点がある場合に減点するという方式を取っているため、バランスの良い、欠点のないモデルが上位になる可能性が高いが、逆に2次審査では、バランスが取れているかというよりは、個性のある、どこか突き抜けているモデルが評価される傾向にあるという。
例えばモデル部門で1位のサヌックについて渡辺氏は、「制御戦略だけではなく、モデルの表現方法や、いろいろな意味で新しい軸が見て取れて、ほかのチームとは異なった特徴があり、その辺が評価された」と述べている。
審査方法の説明後は、今年から採用されたモデルと走行のバランス重視型の総合審査方式について、関東大会との比較を基に検証がなされた。画像3のスライドのようにモデルの評価項目ごとにチャートでまとめると、オレンジ色で示されたチャンピオンシップ大会のチャートの方が全体的に大きいことが分かる。
モデリング領域が拡大したという昨年度は、写真も使用したものや構想の図解とUMLモデルを対応させたものなど、分かりやすさの工夫が進んだ年だったという。
一方、今年の傾向については、「基本的にはあまり変わらず、リピーターの進化によって全体的底上げがされた年だった」と渡辺氏は述べる。モデル部門上位のチームが一昨年以前から参加している常連チームだというのも理由の1つだろう。
また、渡辺氏は学生チームの活躍についても指摘し、「ひよっこえんじにあーずに代表されるような学生チームが、モデルも走行も良いという傾向がある」と述べた。
そのほか、コード生成のチャレンジが増加したこと、モデルと要素技術が一部融合したこと、PID制御・電圧制御・角度制御・灰色検知などが一般化したこと、MATLAB/Simulinkのモデルが出てきたことなどが挙げられた。
モデルワークショップ前半では、審査員がモデルを審査していく中で気になったという以下3点がスライドで表示され、それについてディスカッションが行われた。ディスカッション内容については、次回以降で詳しくご紹介する。
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