プッシュスイッチの3本脚は何? スイッチ回りの回路が負論理になっていることが多いのはなぜ? スイッチの機能と回路について解説する
前回は「DIPスイッチ」「ロータリースイッチ」「プッシュスイッチ」など、スイッチの種類について紹介しました。
今回は「スイッチの機能」と「スイッチ回りの回路」について解説していきます。
ここでは説明を分かりやすくするため、“プッシュスイッチ”を例に話を進めることにします。
前回でも触れましたが、ここで取り上げるプッシュスイッチには脚が3本あります(図1)。
では、プッシュスイッチの“スイッチ”を押したとき、これらの脚がどのようにして電気的につながると思いますか? その様子を確認してみましょう。
まず、テスターを使用して導通試験を行った結果を以下に示します(表1)。
表1の結果を基に模式図を描くと、図2のような構造になっていることが分かります。
いかがですか? スイッチといっても、単にON/OFFしているだけではなく、3本の脚を使って用途に応じた切り替えがなされます(例えば、スイッチを押したときと、押さないときで動作の開始と終了が反転するような場合などに使われます)。
次に、一般的なスイッチ回りの回路について紹介します。
図3をご覧ください。これはスイッチでよく使われる回路です。
この回路では、スイッチが押されていないときの出力はH(High)になり、スイッチが押されたときの出力はL(Low)になります。
「あれ? 論理的な考え方としては逆じゃないの?」と思われるかもしれませんが、スイッチ回りの回路では“負論理”が一般的によく使われます(注)。
では、なぜ負論理がよく使われるのでしょうか? それは、その昔使用されていたTTL(Transistor-Transistor-Logic)の構造に理由があります。
TTLは“入力にLが入ると、電流が流れる”仕組みになっているため、電源側に比較的大きな抵抗値を用いても入力端子がHとなるプルアップ方式を採用していたのです(プルダウン方式だと小さな抵抗値を用いないと確実にLになりにくいため)。その名残から、いまでもこのあたりの回路には負論理がよく使われているようです。
また、この回路の中にある抵抗を「プルアップ抵抗」と呼んでいます(図3)。この抵抗を挟まないと、スイッチを押した瞬間に電源とグランドが短絡(ショート)してしまうので、この抵抗を電源とグランドの間に挿入しているのです。
さて、今回の「スイッチ」の解説をもって本連載も最終回となります。まだまだ皆さんに紹介し切れていない電子部品が数多くありますが、ここでいったん連載を終了します。読者の皆さんも機会があればぜひ、目の前のマシンなどを“バラして”みましょう。きっといろいろな電子部品に巡り合うことができると思います。(連載完)
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