2つのコイルが近づくと、何かが起こる!?バラして納得! 電子部品入門(10)

コイルの役割である“相互誘導作用”の原理を利用した「トランス」の仕組みと“電磁石”の性質を利用した「リレー」について解説する

» 2007年11月26日 00時00分 公開
[鳥海佳孝 設計アナリスト,@IT MONOist]

 前回は“コイル”をテーマに、その役割の1つである「電流の変化の安定」について取り上げました。

 引き続き、コイルの役割について見ていきましょう。今回解説するのは、「相互誘導作用」と「電磁石」の2つの役割についてです。

相互誘導作用

 相互誘導作用とは、“2つのコイルを互いに近づけることによって、片方の電力を他方のコイルに伝えることができる”というものです。この原理を利用したのが「電源トランス」です。



 電源トランスの仕組みは、電力を与える方の入力側のコイルを“1次側”、電力を取り出す出力側のコイルを“2次側”として、1次側のコイルの巻き数と2次側のコイルの巻き数の比で2次側の出力電圧を変えるというものです。

 この性質を利用して電源トランスは、2次側のコイルの巻き線の途中から出力する電圧の線を引き出すことによって、複数の電圧を得られるようになっています(図1)。

トランスの仕組み 図1 トランスの仕組み

 このように2次側の途中から出力電圧を引き出す方式を“タップ”と呼んでいます。

電磁石

 次に「電磁石」について説明します。

 電磁石とは、読んで字のごとくですが“電気を銅線などに流すと磁石になるという性質”です。つまり、電流が流れると鉄などを吸い付けることができるのです。

 この電磁石の性質を利用したものに「リレー」があります。リレーとは電流が流れたときに鉄板を吸い付け、鉄板に取り付けたスイッチを閉じるというものです。リレーのほかに、この電磁石の性質を利用した代表的なものとしては、発電機、モーター、ベル、ブザーなどが挙げられます。

 リレーの原理や動作の仕組みなどは、以下のサイトに掲載されていますので参考にするとよいでしょう。

リレーの基本的な解説(出典:オムロン)

http://www.omron.co.jp/ecb/products/pry/ry_tech_index.html

リレーの原理(出典:オムロン)

http://www.omron.co.jp/ecb/products/pry/ry_tech/b.html

 また、磁気の応用分野が医学、バイオテクノロジ、新素材などの分野においても注目されているようです。


 次回はコイルの役割の最後となる「共振」について説明します。また、コイルの種類なども解説する予定です。(次回に続く)

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