受信機の選局回路やフィルタ回路などに用いられる「共振回路」を解説。また、さまざまな種類の中から代表的なコイルを紹介する
前回と前々回でコイルの基本的な役割のうち、「電流の変化の安定」「相互誘導作用」「電磁石」について説明しました。
今回は最後の1つ「共振」について解説します。
電気のお話でいうところの「共振」を語るには、共振する回路、すなわち“共振回路”が代表的な例として挙げられます。共振回路とは、コイルとコンデンサを使用することで共振現象を引き起こすことができる回路のことです。
共振回路は、図1と図2のようにコイルとコンデンサを直列、あるいは並列に接続することで実現できます。
コイルは電流が流れることで「磁気エネルギー」を生じます。一方、コンデンサは電荷を充放電することで「電気エネルギー」を生じます。この磁気エネルギーと電気エネルギーのやりとりをしながら、ある周波数(これを“角周波数”と呼び、交流電源の周波数fの2π倍になります)で振動が共振します。共振回路は受信機の“選局回路(同調回路)”や“フィルタ回路”などに用いられます。
今回の主役であるコイルには、実にさまざまな種類が存在します。ここでは、その中で代表的なものをいくつか紹介します。
数センチほどの直径を持つドーナツ形のフェライトにエナメル線が巻き付けられています。「ま〜るい磁石にぐるぐる銅線、コイルの役割」で取り上げたように、PC/AT互換機のマザーボード上のCPU用電圧を作る回路などの目的に使用されています。
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⇒ | トロイダルコイル(出典:興和電子工業) |
最も単純な形状のコイルで、高周波回路などの用途で使用されています。鉛筆などにエナメル線やスズメッキ線などを巻いて比較的簡単に作ることができます(小中学校の理科の実験で作ったことがある方もいるのではないでしょうか)。巻く線の太さや巻く数、巻く線の間隔によってコイルの値が変わります。以下のサイトでは、必要なインダクタンス、コイルの内径や高さを入力するとコイルのサイズを計算してくれます。
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⇒ | 空芯コイル(出典:バタフライサウンド) |
電源のノイズを除去するために用いられるコイルです。
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⇒ | チョークコイル(出典:松下電器産業) |
⇒ | チョークコイル(出典:力英電子) |
トランスの中では、いわゆる電源トランス(変圧器)をイメージされるのが一般的だと思います。
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⇒ | トランス(出典:力英電子) |
筒状のフェライトにリード線を通したものです。出力されてはいけない電波の除去などに使われます。以下のサイトにフェライトビーズと呼ばれるようになったゆえんが記述されています。
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⇒ | フェライトビーズ(出典:TDK Techno Magazine) |
以上で、コイルの解説は終了となります。
これまでの連載で、電子部品の最も基本となる素子「抵抗」「コンデンサ」「コイル」を紹介してきました。さて、次回は「発光ダイオード」「LED(Light Emitting Diode)」について解説する予定です。(次回に続く)
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