今回は、電流を順方向に流すと“発光する”素子「LED」について解説。また、実際にLEDを使う(選択する)際のコツを伝授する
これまでの連載で「抵抗」「コンデンサ」「コイル」のいわゆる“電子部品の御三家”について解説してきました。
今回は、非常に単純な受動部品である「発光ダイオード」「LED(Light Emitting Diode)」について取り上げます。
LEDとは、電流を順方向に流すと“発光する”素子をいいます。スイッチを入れること(すなわちONにすること)で、LEDが点灯します(図1)。
LEDの特性やその種類などは、「完全マスター! 電子回路ドリル(7)」の【問題6】の解説に詳しく説明されていますので、そちらを参照してください。
次に、「完全マスター! 電子回路ドリル(6)」の次回までの宿題 ― 【問題6】を題材にして、LEDを使うためのコツを紹介します。
【問題6】は、あらかじめ電源電圧(5V)、抵抗値(500Ω)が決められており、これを基に流れる電流を求めるという問題です。しかし、実際に回路を設計する場合は、電源電圧と使用するLEDの特性が決まったところで、LEDにどのくらいの電流を流す、つまりどのくらいの明るさに光らせるかを決めて、LEDに接続する抵抗値を決めるのが普通だと思います。
http://www.rohm.co.jp/products/databook/led/pdf/slr343wbd2pt-j.pdf
【問題6】では電源電圧が5Vで、赤色発光ダイオードを使用しています。LEDの特性表(【問題6】の解説の図2 LEDの特性)から、LEDに流れる電流が6〜10mAの場合、LEDの順方向電圧は約1.8Vとなります。計算を簡単にするためにLEDに流す電流を10mAとすると、LEDに接続する抵抗値は、
となります。
ここで、最も一般的な金属皮膜抵抗器からピンポイントの抵抗器を用いたいところですが、「E系列」では320Ωなる抵抗は存在しません(詳しくは、「これだけは知っておきたい、抵抗器の種類」を参照のこと)ので、ここは320Ωの値に近い「330Ω」の抵抗を選択することになります。330Ωの抵抗値でも、LEDに流す電流は10mA近く流すことができるので、LEDの輝度にはそれほど影響は出ないといえます。
ちなみに、抵抗値の大きさによってLEDの順方向電流を制御できるため、このLEDに接続する抵抗器のことを「電流制御抵抗」と呼びます(図1)。
次回は「LEDの種類」について解説する予定です。(次回に続く)
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