ロームは、SiCモールドタイプモジュール「HSDIP20」を発表した。ハイパワーアプリケーションの電力変換回路に必要な基本回路を小型パッケージに内蔵しており、設計工数の削減と電力変換回路の小型化に寄与する。
ロームは2025年4月24日、SiC(シリコンカーバイド)モールドタイプモジュール「HSDIP20」を発表した。月産10万個体制で量産を開始しており、サンプル価格は1万5000円(税別)。750V耐圧品「BSTxxx1P4K01」の6製品と、1200V耐圧品「BSTxxx2P4K01」の7製品を用意している。
HSDIP20は、xEV(電動車)用OBC(オンボードチャージャー、車載充電器)のPFC(力率改善)回路やLLCコンバーターに最適な4in1または6in1構成となる。ハイパワーアプリケーションの電力変換回路に必要な基本回路を小型モジュールパッケージに内蔵し、設計工数の削減と電力変換回路の小型化に寄与する。
放熱性能に優れた絶縁基板も搭載しており、大電力動作時でもチップ温度の上昇を抑える。OBCで広く採用されている、SiC-MOSFETを6点使用したPFC回路で熱性能を比較したところ、上面放熱タイプのディスクリート6点よりも6in1構成のHSDIP20の方が約38℃低かった(25W動作時)。
この優れた放熱性能により、38.0×31.3×3.5mmの小型パッケージでも大電流に対応可能となった。電力密度は同じDIPタイプモジュールの1.4倍以上、上面放熱タイプのディスクリート品の3倍以上を達成。これにより、上面放熱タイプのディスクリート品と比較してPFC回路での実装面積を約52%縮小できる。
主な用途として、OBCの他、DC-DCコンバーター、電動コンプレッサー、EV充電ステーション、V2Xシステム、ACサーボ、サーバ電源、PVインバーター、パワーコンディショナーなどを見込む。
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