HPC
「HPC」は“High-Performance Computing”の略称で、「高性能計算」という意味である。高性能な計算機(コンピュータ)を用いて、大規模な量のデータの計算を実施することを指す。そのような計算処理が行えるコンピュータ自身を表すこともある。HPCは自然現象や化学反応の分析、技術計算、気象予測、金融分析など、膨大なデータを取り込みながら複雑な計算を行いたい場合に用いる。
HPCでは、CPUやMPUを多数用いて並列処理を実行する。複数かつ膨大な計算式を同時実行して計算することで、計算効率やスピードを向上させる。複数のコンピュータを連結させて並列計算を実行させることを「HPCクラスタリング」といい、そのコンピュータ環境を「HPCクラスタ」という。HPCの環境はクラウド化されており、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft、Googleといった企業が開発に参画している。
HPCのコンピュータとしては、科学技術計算を主目的とする大規模コンピュータである「スーパーコンピュータ(スパコン)」が知られる。スパコンは、普及価格帯の業務用コンピュータよりもはるかに高性能な計算能力を有する。スパコンの計算性能は「FLOPS(フロップス)」という“1秒間に実行できる浮動小数点数演算の回数を表す数値”で比較される。現在、「TOP500」と呼ばれるコンピュータの性能の国際的ランキングのトップレベルではペタフロップス(1000の5乗)単位で競われている。一般に普及しているPCはギガ(1000の3乗)フロップス単位である。
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