ディーゼル排気ガスのすすを検知するセンサー、500℃の高温対応が決め手に:CEATEC 2015
京セラは、「CEATEC JAPAN 2015」において、ディーゼルエンジンの排気ガス内に含まれるすすを検知するセンサーを披露した。従来の白金に替えて独自の卑金属合金を用いることにより、500℃以上の高温でもすすの有無を検知できる。
京セラは、「CEATEC JAPAN 2015」(2015年10月7〜10日、幕張メッセ)において、ディーゼルエンジンの排気ガス内に含まれるすす(微粒子、PMとも)を検知するセンサーを披露した。
このすすセンサーは、金属導体の回路を作り込んだセラミック基板を積層したものだ。一番上層のセラミック基板がセンサー層になっており、金属導体の回路上にすすが付着したときに流れるリーク電流の有無によってすすを検出している。下層のセラミック基板は、付着したすすを燃焼して飛ばすためのヒーター層である。
一般的なすすセンサーは金属導体に白金が用いられている。エンジンの排気ガスは500℃以上の高温になることも多く、白金はそういった高温環境下でも酸化しない耐高温酸化性を有していることが採用理由になっている。しかし、そういった高温環境では、すすと白金の間で触媒反応を起こしてすすが燃えてしまい、本来の目的であるすすを検知できなくなるという課題があった。
これに対して京セラのすすセンサーは、金属導体に白金ではない卑金属の合金を用いている。この卑金属の合金は、白金で課題になっていた触媒反応が起こらないため、500℃以上の高温の排気ガスでもすすを検出できるというわけだ。「もちろん、白金と同等レベルの耐高温酸化性を有している。ただし詳細は明かせない」(同社の説明員)としている。
高価な白金を使わないためコスト削減が可能なことも長所の1つだ。商品化時期は、2017年1月が目標になっている。
DPFの後段に設置するすすセンサー
ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンより熱効率が高いものの、排気ガスの中に含まれるすすや窒素酸化物が多い。これらのすすや窒素酸化物(NOx)を車両外に放出しないようにするため、一般的には後処理装置を設置する必要がある。すすを除去するのはDPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)で、窒素酸化物を除去するのは尿素SCR(Selective Catalytic Reduction:選択還元触媒)システムやリーンNOxトラップ(LNT)などである。
京セラが今回開発したすすセンサーはDPFの後段に設置するものだ。通常の状態であれば、DPFから排気ガス規制の基準値以上のすすは排出されないので、すすセンサーにもすすは付着しない。しかし、DPFの許容量以上のすすが排気ガスに含まれている場合や、DPFに不具合は発生した場合には、DPFが除去し切れなかったすすをすすセンサーが検知して異常をドライバーに知らせる必要がある。
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