トランプ政権の関税政策に警戒感が高まっている。補助金などEVに関わる政策も不透明だ。自動車を含め製造業は状況を注視しながらフレキシブルに対応することが求められる。
トランプ政権の関税政策に警戒感が高まっている。補助金などEV(電気自動車)に関わる政策も不透明だ。自動車を含め製造業は状況を注視しながらフレキシブルに対応することが求められる。
トランプ政権はメキシコやカナダから米国への輸入品に25%の関税を課すと発表。2025年3月4日まで延期されていたが、発動日が迫っている。自動車メーカーへの影響は大きい。2025年2月13日の決算説明会で、ホンダ 取締役 代表執行役副社長の青山真二氏は「仮定の話だが、2025年3月においては200億円くらいの影響が出る」と説明した。2024年度通期のホンダの業績見通しに影響は織り込んでいない。
ホンダの米国販売のうち、カナダやメキシコで生産された台数は2024年の実績では約55万台だった。米国向けを米国で生産する比率は「フォードに次いで高い」(青山氏)という。一方で、米国生産分をカナダやメキシコにも輸出しており、それも含めると関税の影響が出るのは「合計で61万台」(ホンダ 取締役 執行役常務の藤村英司氏)。
また、トランプ政権はアルミニウムの関税を10%から25%に引き上げるとともに、全ての鉄鋼に25%の関税をかけることを決めた。完成車の関税に、材料に対する関税も上乗せされる格好だが、青山氏は「鉄やアルミの対応は難しくない。ホンダとしては米国内での調達が大多数になっている。一部、カナダや日本からの輸入はあるが、対応に大きな難しさは感じていない」と説明した。
青山氏は「政策の実行性の見通しが利きづらいと感じている。完成車の関税が半年、1年、2年、3年と続くなら対応が非常に難しくなるのは間違いない。そこをどう見立てるかで動き方は変わる。超短期的には、メキシコとカナダの生産分を2月中に米国に持っていくことになるだろう。短期的な対応では、工場のモデルミックスや機種の変更などやることはある。中長期的にモデルや機種のアロケーションを変えていくことを検討する準備もしている」とコメントした。
いずれの対応もまだ決定したものではなく、「いつ対応のトリガーを引くかは状況を注視してやっていく」(藤村氏)。
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