ステッドファーストのIBSは、単にレーダーや電子海図などの航海情報を1つの画面へ集めたシステムではない。艦内の説明パネルでは、少人数の乗員体制でも艦上の航海系とプラットフォーム系を効率的に監視/制御するためのシステムと説明している。実際の操舵室を見ると、その「統合」は表示装置だけでなく、操舵、推進、通信、機関監視、安全管理、消火、ダメージコントロールにまで及んでいる。
フォーミダブル級では、省人化そのものが設計上の重要な要件となっている。シンガポール国防省が2005年に公表した資料によれば、IBSには同一仕様のIBCを2基搭載し、それぞれに3面の操作ディスプレイを装備する。オペレーターは1つの操作位置から複数のモードを切り替え、推進/機関状態の監視から航海情報、ECDIS(電子海図情報表示装置)の表示まで異なる機能を扱える。この構成によって、フォーミダブル級では4人を基本とするブリッジ配員を可能にしたとしている。
さらに、操艦を担うDSCS(Dynamic Ship Control System)は、操艦と監視を1人で行えるよう機能を統合し、オートパイロットも備える。このように、省人化は、乗員を単純に減らすのではなく、それまで別々の操作位置や担当者へ割り当てられていた情報表示、監視、操艦などの機能を共通の操作環境へ集約し、1人の当直員が扱える機能の範囲を広げることで実現している。
この構成で重要なのは、軍艦で重要とされる冗長化と統合を相反するものとして扱っていないことだ。通常時には機能をIBCへ集約して少人数で扱いやすくする。一方、非常操艦ではEHS、機関制御室の機能喪失時にはBEWというように、必要になる状況ごとに別の操作手段を用意する。また、離着岸では適切な位置から操船する運用柔軟性のためにPBSを用意している。このように、同じ機器を単純に複製するのではなく、機能と運用場面に応じて代替手段を重ねている。
ステッドファーストのIBSは、以上のように航海、操船、推進、機関監視などを共通の情報環境へ統合して省人化を進めながら、1つの操作位置や1つの運用方法だけには依存しない構成としている。機能の統合による省人化と、機能喪失時にも運用を継続するための冗長性/抗堪性をどのように両立するかが、フォーミダブル級におけるIBSの特徴といえるだろう。
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