シンガポール海軍のフリゲート艦に潜入! 人手不足が変える軍艦の操舵室とはイマドキのフナデジ!(18)(2/3 ページ)

» 2026年09月14日 06時00分 公開
[長浜和也MONOist]

「ステッドファースト」のIBSを構成する各機能を見る

 IBCを構成するそれぞれのコンソールには、大型ディスプレイ、キーボード、トラックボール、操舵用ジョイスティックなどを装備する。中央には左右の推進系を操作する2基のスロットルレバーとENGINE EMERGENCY STOP、バウスラスターの推力操作器も配置している。

 ステッドファーストのIBCには航海/操船以外の機能も組み込んでおり、磁気コンパスの方位表示に加え、操作部には「DUAL SCREEN」「CMS DISPLAY」「CMS CONTROL」と記された切り替えスイッチも確認できる。ここでいうCMSはCombat Management System(戦闘管理システム)のことで、シンガポール国防省によれば、艦上の各種センサーと兵器システムを統合し、センサー管理、戦術状況図の作成、脅威評価、兵器割当などを行う指揮/統制システムとしている。本格的な戦闘指揮を行うCMS用コンソールはCIC(Combat Information Centre)に配置しているが、操舵室のIBCにもCMSに関係する表示/操作の切り替えが可能ということになる。

 シンガポール国防省が2022年に発表し、2023年に更新した中期近代化改修の資料では、CMSは指揮/統制(C2)システムの中核として位置付けられており、将来的にはAI(人工知能)などの新技術を取り入れるとともに、改良したセンサーと組み合わせることで、潜在的な脅威をより速く探知し、対応できるよう強化する計画としている。

 先述のように左舷IBCの左舷端にはEHSを設けている。これは非常時に操艦と推進系を扱う専用コンソールで、左右舵角、船首方位、速力、左右推進系の回転数とピッチを表示し、操舵機の主/補助電動ポンプの運転状態や異常も監視できる。さらに操舵用ジョイスティック、機関スロットルレバー、バウスラスター操作スティック、機関非常停止、汽笛、非常操舵への切り替えなども備えている。多機能ディスプレイを中心とするIBCとは異なり、専用計器と物理スイッチを多数並べたHMI(Human-Machine Interface)となっている点も特徴だ。

操舵室左舷端に設置されているEHS 操舵室左舷端に設置されているEHS[クリックで拡大]
操舵室左舷側シート(主に航海長などの当直士官が使用する)から操舵室左舷側外周を望む 操舵室左舷側シート(主に航海長などの当直士官が使用する)から操舵室左舷側外周を望む[クリックで拡大]

 右舷IBCの右舷端にPBSがあるのも先述の通りだ。離岸や接岸時に操艦/推進系を操作するための“可搬式”ブリッジステーションとされているが、実機では右舷最前部の窓際に固定しており、船体と岸壁の位置関係を直接確認しやすい場所から操船できる配置となっていた。

操舵室右舷端に設置されているPBS(Portable Bridge Station) 操舵室右舷端に設置されているPBS(Portable Bridge Station)[クリックで拡大]
操舵室右舷側シートから操舵室右舷側外周を望む 操舵室右舷側シート(こちらも主に当直士官が使用する)から操舵室右舷側外周を望む[クリックで拡大]
操舵室右舷端前端から接舷側船首方向を望む 操舵室右舷端前端から接舷側船首方向を望む。接岸操船中における視界にほぼ相当する[クリックで拡大]

 操舵室前面の上方に吊り下げられている複数のディスプレイは、BOD(Bridge Overhead Display)として航海情報と機関関係のデータ、さらに各種ソースからのライブ映像をまとめて表示する。個々のオペレーターがIBCの画面を見るだけでなく、ブリッジ内で共通して把握したい情報のための表示機器といえる。

 さらに左舷後方にはBEW(Bridge Engineering Workstation)がある。これは機関制御室(Machinery Control Room)の主ワークステーションが使用できなくなった場合に、機関監視、消火、ダメージコントロールを代替するための端末だ。艦全体の構成や安全状態、消火/損害対処状況を大型画面に表示するBELS(Bridge Engineering Large Screen Display)もシステムの構成要素として用意されている。

左舷後方側面に設置されているBEW(Bridge Engineering Workstation) 左舷後方側面に設置されているBEW(Bridge Engineering Workstation)[クリックで拡大]

 一方、操舵室右舷後方には、IBCとは別に航海センサーや航海データ系の専用表示/監視機器もまとめて配置している。Ultra Electronics製の航海データ監視盤には「NAVIGATION DATA SYSTEM」「INERTIAL NAVIGATION SYSTEM」に加え、「PRI NAVIGATION DATA UNIT STATUS」「SEC NAVIGATION DATA UNIT STATUS」の表示があり、航海データ処理には主/副の系統を用意していることが分かる。これらの他、ELAC製音響測深機、対水速力/水温、船首方位、風向/風速などを表示する専用機器も確認できる。これらの情報はIBCとは別に、個々の航海情報を専用機器でも確認できる構成となっている。

操舵室右舷後方に設置された航海センサーや航海データ系の専用表示/監視機器群 操舵室右舷後方に設置された航海センサーや航海データ系の専用表示/監視機器群[クリックで拡大]

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